ぼっち姫、アーティファクトとご対面。
文字数 2,316文字
二人で奥に進みつつ、めりにゃんに詳しい話を聞いてみたが、どうやら俺とは別の場所から下に落下してきたのだそうだ。
俺の場合は直であの空間に落ちたけれど、めりにゃんの場合はもっと大変だったらしい。
迷宮状の細い通路に出て、迷いながらやっとあの場所まで到着したのだそうだ。
途中魔物達とも遭遇したが、魔物同士だったので特別襲い掛かって来ることもなかったらしい。
やっぱり知性が低い一般の魔物達の方が本能的に生きてるだけあってそういう仲間意識みたいなのが強いのかもしれない。
下手に知性を持つとあのガシャドみたいな糞野郎が出てくるわけだ。
勿論ライゴスのように、知性を持っているからこそ、という相手も居るので一長一短だろう。
人間にも糞野郎はたくさんいるのだからそれは魔物でも同じかもしれない。
ガシャド達はともかく、もっと前に遺跡調査に入った魔物達は迷宮に阻まれたり罠にかかったりで戻る事が出来なかったのだろうか?
それとももっと先に行っているのだろうか?
この先に何が待ち受けているのか分からないので少し真面目に探索を開始すると、次第に俺の精神も安定してきたように感じる。
めりにゃんと会話しているとすぐ頭がふわふわっとしてくるが、なんとか自分を強く持つ事で押さえつける。
妙な気分だが、めりにゃんに対して父であり母であり兄であり姉であるような感覚なのだ。
さすがにこの幼い外見に恋愛感情を抱く事はないが、そういうのを抜きにして家族に対する愛情のような何かを感じる。
変な感じだ。
もともと俺はそう簡単に他人を信じるタイプではないし、誰かに特別思い入れを持った事などリュミア以外には無かったのだが。
仲間と呼べる奴らに関しては有能だから仲間として一緒にいたというだけで、リュミアさえ居ればそれでよかったのだと思う。
使える物は使う。
気に入らない物は排除する。
そういう簡単な感情で生きてきたつもりなのだが、どうにもこの体になってから情緒が怪しいというか、自分の生き方や考え方まで変わってきてしまったように思えてならない。
ライゴスの事もそうだ。
確かに奴は嫌いじゃないし立派な戦士だと思う。きっと今までの俺だったとしても殺しはしなかっただろう。
だが、魔物を仲間に引き込もうとしただろうか?
答えは今となっては分からないが、どうにもしっくりこない。
俺はこんなにも優しかったか? と、自分で言うのは恥ずかしいような疑問が頭をよぎる。
「のうセスティ」
「ん? どうした? 疲れたか?」
「そうじゃないのじゃ。セスティは……呪われてると言っておったがその体は別人の物で、本当のセスティの体は別にある、でよかったかのう?」
俺の情緒不安定感が伝わってしまったのだろうか。めりにゃんが俺の事を知りたがるのは嬉しいが、複雑な気持ちだ。
「そうだよ。この体はどこかの姫さんの物らしい。俺の本当の体は行方不明状態だな」
「ふむ。もしや儂と同じで封印されてしまってそういう状態なのかと思ったが少し違うようじゃのう。もしここにアーティファクトがあるのならお主の呪いも解呪できればと思ったんじゃが」
真面目な顔で辺りを警戒しながら俺の隣を歩くめりにゃん。
どうやら俺の事を気にかけてくれたらしい。
「まぁ俺の方は焦ってもしょうがないからいいさ。それよりめりにゃんは自分の事を優先で考えてくれよ」
「……お主は、不思議な奴じゃのう」
何が? と、聞こうとしたのだが……そこで再び広い空間に出たので言葉に詰まる。
今までよりさらに広い空間だった事にも驚いたが、そんな事よりも……。
「これは……一体どういう事なのじゃ……?」
めりにゃんが辺りに広がる光景を目にして絶句している。
その広い空間の、床一面魔物の死骸で埋め尽くされていた。
俺は注意深く辺りの様子を伺う。
奥には小さな祭壇があり、その上にほのかに怪しい輝きを放つ球体が浮かんでいた。
「あれは、アーティファクトなのじゃっ!」
……なんだって……?
俺は動揺していた。
あれが、あんな物がアーティファクトだっていうのか?
もしあれが本当にアーティファクトだっていうのなら、俺は以前にも同じような物を見た事がある。
あれは、そう。忘れもしない……。
グゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……ッ!
思考を邪魔するかのように地響きがして遺跡自体が小刻みに震える。
「な、なんじゃ、なんじゃっ!?」
「めりにゃん! ちょっと下がってろ。これはちょっとヤバい」
あれが俺の知っている物と同一だったなら、ここにはアレが居るはずだ。
非常にめんどくさい番人が。
振動のせいなのか、そういう仕組みなのかわからないが俺達の背後、今まで通ってきた道が塞がる。
瓦礫が崩れて通路が塞がったというより、何かしらの意図的な封鎖のようだ。
それでこの魔物共も逃げられずにこいつにやられてしまったのだろう。
こんな奴がいたら普通の魔物なんかじゃ相手にならない。生きて帰る者が居なかったというのも納得である。
やがて振動が収まる頃には、辺りの壁から岩のブロックやら瓦礫やらが飛んで来て、大きな人型になる。
その体の中心、胸部にあのアーティファクトが吸い込まれていくのが見えた。
要するにこれから戦わなければいけない相手は、アーティファクトの力で全身を補強された、アーティファクトの力を使うガーディアンだ。
「早く新しい武器を用意しておくべきだったわ」
俺の場合は直であの空間に落ちたけれど、めりにゃんの場合はもっと大変だったらしい。
迷宮状の細い通路に出て、迷いながらやっとあの場所まで到着したのだそうだ。
途中魔物達とも遭遇したが、魔物同士だったので特別襲い掛かって来ることもなかったらしい。
やっぱり知性が低い一般の魔物達の方が本能的に生きてるだけあってそういう仲間意識みたいなのが強いのかもしれない。
下手に知性を持つとあのガシャドみたいな糞野郎が出てくるわけだ。
勿論ライゴスのように、知性を持っているからこそ、という相手も居るので一長一短だろう。
人間にも糞野郎はたくさんいるのだからそれは魔物でも同じかもしれない。
ガシャド達はともかく、もっと前に遺跡調査に入った魔物達は迷宮に阻まれたり罠にかかったりで戻る事が出来なかったのだろうか?
それとももっと先に行っているのだろうか?
この先に何が待ち受けているのか分からないので少し真面目に探索を開始すると、次第に俺の精神も安定してきたように感じる。
めりにゃんと会話しているとすぐ頭がふわふわっとしてくるが、なんとか自分を強く持つ事で押さえつける。
妙な気分だが、めりにゃんに対して父であり母であり兄であり姉であるような感覚なのだ。
さすがにこの幼い外見に恋愛感情を抱く事はないが、そういうのを抜きにして家族に対する愛情のような何かを感じる。
変な感じだ。
もともと俺はそう簡単に他人を信じるタイプではないし、誰かに特別思い入れを持った事などリュミア以外には無かったのだが。
仲間と呼べる奴らに関しては有能だから仲間として一緒にいたというだけで、リュミアさえ居ればそれでよかったのだと思う。
使える物は使う。
気に入らない物は排除する。
そういう簡単な感情で生きてきたつもりなのだが、どうにもこの体になってから情緒が怪しいというか、自分の生き方や考え方まで変わってきてしまったように思えてならない。
ライゴスの事もそうだ。
確かに奴は嫌いじゃないし立派な戦士だと思う。きっと今までの俺だったとしても殺しはしなかっただろう。
だが、魔物を仲間に引き込もうとしただろうか?
答えは今となっては分からないが、どうにもしっくりこない。
俺はこんなにも優しかったか? と、自分で言うのは恥ずかしいような疑問が頭をよぎる。
「のうセスティ」
「ん? どうした? 疲れたか?」
「そうじゃないのじゃ。セスティは……呪われてると言っておったがその体は別人の物で、本当のセスティの体は別にある、でよかったかのう?」
俺の情緒不安定感が伝わってしまったのだろうか。めりにゃんが俺の事を知りたがるのは嬉しいが、複雑な気持ちだ。
「そうだよ。この体はどこかの姫さんの物らしい。俺の本当の体は行方不明状態だな」
「ふむ。もしや儂と同じで封印されてしまってそういう状態なのかと思ったが少し違うようじゃのう。もしここにアーティファクトがあるのならお主の呪いも解呪できればと思ったんじゃが」
真面目な顔で辺りを警戒しながら俺の隣を歩くめりにゃん。
どうやら俺の事を気にかけてくれたらしい。
「まぁ俺の方は焦ってもしょうがないからいいさ。それよりめりにゃんは自分の事を優先で考えてくれよ」
「……お主は、不思議な奴じゃのう」
何が? と、聞こうとしたのだが……そこで再び広い空間に出たので言葉に詰まる。
今までよりさらに広い空間だった事にも驚いたが、そんな事よりも……。
「これは……一体どういう事なのじゃ……?」
めりにゃんが辺りに広がる光景を目にして絶句している。
その広い空間の、床一面魔物の死骸で埋め尽くされていた。
俺は注意深く辺りの様子を伺う。
奥には小さな祭壇があり、その上にほのかに怪しい輝きを放つ球体が浮かんでいた。
「あれは、アーティファクトなのじゃっ!」
……なんだって……?
俺は動揺していた。
あれが、あんな物がアーティファクトだっていうのか?
もしあれが本当にアーティファクトだっていうのなら、俺は以前にも同じような物を見た事がある。
あれは、そう。忘れもしない……。
グゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……ッ!
思考を邪魔するかのように地響きがして遺跡自体が小刻みに震える。
「な、なんじゃ、なんじゃっ!?」
「めりにゃん! ちょっと下がってろ。これはちょっとヤバい」
あれが俺の知っている物と同一だったなら、ここにはアレが居るはずだ。
非常にめんどくさい番人が。
振動のせいなのか、そういう仕組みなのかわからないが俺達の背後、今まで通ってきた道が塞がる。
瓦礫が崩れて通路が塞がったというより、何かしらの意図的な封鎖のようだ。
それでこの魔物共も逃げられずにこいつにやられてしまったのだろう。
こんな奴がいたら普通の魔物なんかじゃ相手にならない。生きて帰る者が居なかったというのも納得である。
やがて振動が収まる頃には、辺りの壁から岩のブロックやら瓦礫やらが飛んで来て、大きな人型になる。
その体の中心、胸部にあのアーティファクトが吸い込まれていくのが見えた。
要するにこれから戦わなければいけない相手は、アーティファクトの力で全身を補強された、アーティファクトの力を使うガーディアンだ。
「早く新しい武器を用意しておくべきだったわ」