ぼっち姫、その身の秘密。
文字数 2,445文字
『大丈夫です』
その言葉に俺とめりにゃんは顔を合わせる。
「今の、セスティじゃ……」
「俺じゃねぇよ」
だとしたら誰だ?
辺りを見渡しても誰もいない。
どこから聞こえてきた?
『大丈夫です。安心して下さい』
ぶぅぅぅぅぅぅぅぅん。
その振動は、やがて段々と小さくなる。
俺は、その言葉を鵜呑みにする事はできず、いざという時の為にいつでも離脱できるよう転移アイテムを懐から取り出し、握りしめる。
『私は、メディファス。あなた方がアーティファクトと呼ぶ物です』
その言葉と共に、ガーディアンの胴体が緩やかな振動と共に開かれた。
胸部から階段のような物が現れ、小柄な少年とも少女ともわからない中性的な存在が現れた。
「お、お主がアーティファクトじゃと? なら儂の呪いを……」
『魔物の反応を感知。殲滅します』
「なっ、めりにゃん危ないっ!!」
その性別不明な奴がめりんやんに向けて掌をっ向けると、ビシュン!と言う音と共にめりにゃんに向かって光線が発射された。
慌てて俺はめりにゃんを突き飛ばす。
「いってぇぇぇぇぇっ!! てめぇ急に何しやがる!?」
めりにゃんを突き飛ばし、その代わりに俺の右腕は奴の光線に貫かれ手首から肘が消し飛んだ。
奴を警戒し、睨みを利かせつつエリクシールライトで傷を塞ぐが、切断された腕がある訳ではないので出血が止まるだけだ。
地面には俺の手首と、転移用の粉が散らばる。
希少品なのにこの野郎……っ!
「セスティ!? 腕が、セスティの腕がっ!!」
めりにゃんが涙目で叫ぶ。
「俺の事はいい。それよりコイツだ」
『不可解。何故貴方は魔物を庇うのです?』
そいつは本当に理解ができないというように小首をかしげた。
「この子は魔物かもしれねぇが俺の仲間なんだ。こいつに手を出すっていうならお前も俺の敵だ!」
『……理解不能。しかしながら我が主の仲間という事であれば。……登録完了。失礼をいたしました。ご容赦を』
「なぁにがご容赦をだてめぇ!いきなり殺そうとしやがって……。って、なんだ?我が主??」
『肯定。貴方は我が主として相応しい力を示した。本日只今を持って我は貴方の所有物となります』
いらねぇ。
「てめぇみたいな物騒なもんいらねぇよ。そもそもアーティファクトだぁ?さっきの玉っころはどうした?」
奴はこちらにゆっくりと歩を進めながら、語り始める。
『それが我。我を求める者には試練を課せというのが創造主のご意向なれば。ご理解頂けましたか?』
わっかんねぇな。
創造主って事は神々って事か?アーティファクトを欲しがるような奴にはそれだけの力があるかどうか試練を与えて、それをクリアした物がこいつの主になるという事か?
『理解が早くて助かります』
「人の思考を読むんじゃねぇよ気持ちわりぃな」
『申し訳ありません』
「と、とにかくじゃ。もう儂は平気なんじゃな?」
『はい。先ほどは失礼致しました』
「それはよい。よいのじゃが……セスティの腕が……」
『そうでした。では我が主の腕を再生いたしましょう』
「その必要はねぇよ」
「しかしそれではお主の腕が……って、せ、セスティ!? なんじゃそれは!?」
めりにゃんが俺の腕を見つめて驚きの声をあげる。
驚くのも仕方がないだろう。
俺だって最初に見た時は自分でも気持ち悪かったからな。
先ほど消し飛んだ俺の腕、血を止めたその傷口がぐじゅぐじゅと蠢いて、そこから骨がズボッと生える。
うぅ……ぐろい。
すると、その骨を取り巻くようにしゅるしゅると肉の繊維が飛び交い、筋や筋肉を整え、元通りの腕が復活した。
「うわぁ……セスティ、さすがにそれは儂でもドン引きじゃよ……」
めりにゃん、そんな目で見ないでくれよ。俺だって結構気にしてんだからさ。
『不可解。人間にそのような再生機能があるとは知りませんでした』
「俺は特別なんだよ。お前のいう所の、創造主? ようは神様って奴がよ。俺に呪いをかけてどこぞの姫さんの体に俺の魂を入れやがった」
『理解。それは分かりましたが、それと再生の因果関係が分かりかねます』
「この体は変化を許さない。髪の毛を切れば元通り生えてくる。怪我をすれば治る。神様って奴は趣味が悪いよな」
そう、傷を負っただけならそれこそすぐに治る。骨折だってそうだ。
しかし、切断されたり欠損してしまうとそれを生成するのに少々時間がかかるが、ちょっと待てばこの通りである。
『理解。創造主の御心までは分かりかねますが、貴方がどういう状況なのかは理解しました』
「セスティ、お主……思ったより大変な事になっておるんじゃのう」
なんだか哀れまれてる! 呪いをかけられ力を失った魔物幼女に哀れまれてる!!
「んで? 俺がお前の主って事になっちまったのは拒否できんのか?」
『無理です。我は試練を乗り越えた者の物。既に登録済みでありますので変更はできかねます』
はいはい。どうせそんなこったろうと思ったよ。
「その中に点在する他のアーティファクトもお前みたいな感じなのか?」
『否定。質問が抽象的なので正しい回答かは分かりかねますが、我はサポート専用故に自意識を与えられております。他のアーティファクトがそうとは限りません』
つまり、ディレクシアやエルフ、魔王が所持しているアーティファクトがどういう種類の物かは分からないという事か。
『……疑問。このような事が起こりえるのか、確率的にあり得ないと判断しますが、貴方は…既にアーティファクトをお持ちなのですか? 主の精神体より、我と同等の波長を感知しました』
あぁ、やっぱりそうなのかな。
今の今までこれがなんなのか分かってなかったけどよ。
俺ってば、アーティファクトらしいぜ。
その言葉に俺とめりにゃんは顔を合わせる。
「今の、セスティじゃ……」
「俺じゃねぇよ」
だとしたら誰だ?
辺りを見渡しても誰もいない。
どこから聞こえてきた?
『大丈夫です。安心して下さい』
ぶぅぅぅぅぅぅぅぅん。
その振動は、やがて段々と小さくなる。
俺は、その言葉を鵜呑みにする事はできず、いざという時の為にいつでも離脱できるよう転移アイテムを懐から取り出し、握りしめる。
『私は、メディファス。あなた方がアーティファクトと呼ぶ物です』
その言葉と共に、ガーディアンの胴体が緩やかな振動と共に開かれた。
胸部から階段のような物が現れ、小柄な少年とも少女ともわからない中性的な存在が現れた。
「お、お主がアーティファクトじゃと? なら儂の呪いを……」
『魔物の反応を感知。殲滅します』
「なっ、めりにゃん危ないっ!!」
その性別不明な奴がめりんやんに向けて掌をっ向けると、ビシュン!と言う音と共にめりにゃんに向かって光線が発射された。
慌てて俺はめりにゃんを突き飛ばす。
「いってぇぇぇぇぇっ!! てめぇ急に何しやがる!?」
めりにゃんを突き飛ばし、その代わりに俺の右腕は奴の光線に貫かれ手首から肘が消し飛んだ。
奴を警戒し、睨みを利かせつつエリクシールライトで傷を塞ぐが、切断された腕がある訳ではないので出血が止まるだけだ。
地面には俺の手首と、転移用の粉が散らばる。
希少品なのにこの野郎……っ!
「セスティ!? 腕が、セスティの腕がっ!!」
めりにゃんが涙目で叫ぶ。
「俺の事はいい。それよりコイツだ」
『不可解。何故貴方は魔物を庇うのです?』
そいつは本当に理解ができないというように小首をかしげた。
「この子は魔物かもしれねぇが俺の仲間なんだ。こいつに手を出すっていうならお前も俺の敵だ!」
『……理解不能。しかしながら我が主の仲間という事であれば。……登録完了。失礼をいたしました。ご容赦を』
「なぁにがご容赦をだてめぇ!いきなり殺そうとしやがって……。って、なんだ?我が主??」
『肯定。貴方は我が主として相応しい力を示した。本日只今を持って我は貴方の所有物となります』
いらねぇ。
「てめぇみたいな物騒なもんいらねぇよ。そもそもアーティファクトだぁ?さっきの玉っころはどうした?」
奴はこちらにゆっくりと歩を進めながら、語り始める。
『それが我。我を求める者には試練を課せというのが創造主のご意向なれば。ご理解頂けましたか?』
わっかんねぇな。
創造主って事は神々って事か?アーティファクトを欲しがるような奴にはそれだけの力があるかどうか試練を与えて、それをクリアした物がこいつの主になるという事か?
『理解が早くて助かります』
「人の思考を読むんじゃねぇよ気持ちわりぃな」
『申し訳ありません』
「と、とにかくじゃ。もう儂は平気なんじゃな?」
『はい。先ほどは失礼致しました』
「それはよい。よいのじゃが……セスティの腕が……」
『そうでした。では我が主の腕を再生いたしましょう』
「その必要はねぇよ」
「しかしそれではお主の腕が……って、せ、セスティ!? なんじゃそれは!?」
めりにゃんが俺の腕を見つめて驚きの声をあげる。
驚くのも仕方がないだろう。
俺だって最初に見た時は自分でも気持ち悪かったからな。
先ほど消し飛んだ俺の腕、血を止めたその傷口がぐじゅぐじゅと蠢いて、そこから骨がズボッと生える。
うぅ……ぐろい。
すると、その骨を取り巻くようにしゅるしゅると肉の繊維が飛び交い、筋や筋肉を整え、元通りの腕が復活した。
「うわぁ……セスティ、さすがにそれは儂でもドン引きじゃよ……」
めりにゃん、そんな目で見ないでくれよ。俺だって結構気にしてんだからさ。
『不可解。人間にそのような再生機能があるとは知りませんでした』
「俺は特別なんだよ。お前のいう所の、創造主? ようは神様って奴がよ。俺に呪いをかけてどこぞの姫さんの体に俺の魂を入れやがった」
『理解。それは分かりましたが、それと再生の因果関係が分かりかねます』
「この体は変化を許さない。髪の毛を切れば元通り生えてくる。怪我をすれば治る。神様って奴は趣味が悪いよな」
そう、傷を負っただけならそれこそすぐに治る。骨折だってそうだ。
しかし、切断されたり欠損してしまうとそれを生成するのに少々時間がかかるが、ちょっと待てばこの通りである。
『理解。創造主の御心までは分かりかねますが、貴方がどういう状況なのかは理解しました』
「セスティ、お主……思ったより大変な事になっておるんじゃのう」
なんだか哀れまれてる! 呪いをかけられ力を失った魔物幼女に哀れまれてる!!
「んで? 俺がお前の主って事になっちまったのは拒否できんのか?」
『無理です。我は試練を乗り越えた者の物。既に登録済みでありますので変更はできかねます』
はいはい。どうせそんなこったろうと思ったよ。
「その中に点在する他のアーティファクトもお前みたいな感じなのか?」
『否定。質問が抽象的なので正しい回答かは分かりかねますが、我はサポート専用故に自意識を与えられております。他のアーティファクトがそうとは限りません』
つまり、ディレクシアやエルフ、魔王が所持しているアーティファクトがどういう種類の物かは分からないという事か。
『……疑問。このような事が起こりえるのか、確率的にあり得ないと判断しますが、貴方は…既にアーティファクトをお持ちなのですか? 主の精神体より、我と同等の波長を感知しました』
あぁ、やっぱりそうなのかな。
今の今までこれがなんなのか分かってなかったけどよ。
俺ってば、アーティファクトらしいぜ。