ぼっち姫、呪われ仲間ができる。

文字数 859文字

「なんじゃとぉ!?」

 うわっ、めりにゃんが急に大声を出すのでびっくりした。
 そして、そのせいで近づいてくる者達に気付かれてしまったようだ。


「なんだ!? 今こちらの方から声が……そこに居るのは何者です!? 出てきなさい。さもなくば我が魔法で瓦礫ごと消し炭にしますよ」

 ちっ、気付かれちゃしょうがない。

「めりにゃん、ちょっとそこに隠れてな。話して分かってくれる相手ならいいがダメなら戦闘になる」

 ぞろぞろと魔物の群れを率いて現れたのは、黒いローブに身を包んだ魔導士風の男。
 人型というだけで、奴らが持った松明に照らされてローブから覗く顔は髑髏。ガイコツだった。

「おぉ! お前はガシャドじゃな!」

 馬鹿、柱から出てくるんじゃない!
 と、言いかけて、少女が相手の名前を呼んでいた事に気付く。

 この少女とあのガイコツ野郎は仲間なのか?
 もしあのガイコツと戦闘になったらこの少女も敵に回す事になってしまうかもしれない。

 ……が、俺の心配はある意味杞憂だった。

「おやおや、誰かと思えば……ヒルデガルダさ…、いや。誰でしたかねぇ? 人間と一緒に居るような知り合いは残念ながら私にはおりませんので。……おい、あの二人を捕らえろ! 抵抗するようなら殺しても構わん!」

 ガシャドとやらが背後に控える大量の魔物達に命令を下す。

 どういう事だ? めりにゃんの方へ視線を向けると、彼女は唇を噛みしめて、口の端からうっすら血が流れていた。

 余程悔しかったのだろう。
 仲間に裏切られたのだ。

 俺と一緒にいるから、と奴は言ったがそれは単なる口実。
 それは彼女も分っているようで、プルプルと震えながらその大きくて綺麗な瞳が雫で溢れた。

「おいそこのガイコツ野郎」

「がっ、ガイコツ野郎!? 無礼な奴め……なんだ?遺言なら今のうちに聞いておいて差し上げましょう」

「私の友達を泣かせる奴は」

 そう、この子はもう私の友達だ。
 放っておく事はできない。

「ぶっ殺してやるわ」
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登場人物紹介

名前:プリン・セスティ


神様に呪いをかけられてとある国の姫様と体を入れ替えられてしまう。


元々ある事情でとんでもない力を手に入れていたが、入れ替わり後はその力も半減し、姫の肉体に宿る膨大な魔力を利用して戦う戦法に切り替えた。


自分が女だと認識されればされるほど意識が体に引っ張られて心まで女になっていく為、出来れば目立ちたくない。


そんな理由から、自分の代わりに目立って貰うためにパーティーから逃亡してしまった勇者を探している。

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