失語の春
文字数 202文字
忘れものを探して頁を捲る手つきが
いつか私の手を引いて
言葉なく、社会なく、音もない世界に連れていってほしい
気づいて
貴方しか分からない暗喩を
見つけて
貴方のための修辞を
詩を聞くたびに私たちは不幸になる
だから私たちはいつか死んでしまう
でも、
貴方の声、貴方の姿、貴方の呼吸
そのすべてが、私をこの世界にどうしようもなく繋ぎ止めてしまう
だから、私は声を失う
いつか貴方とお話しするとき、
最高の詩を聴かせてあげたいから
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