黒獣
文字数 358文字
奥の
さらにその奥にある
日の当たらない深い森の中から
一匹の獣がまろびでる
漆黒の体毛を持つそれは
ぶるっと身震いをした後で
空に向かって尾を引くような遠吠えを一つ上げた
悲しげで何かを求めるようなその声に同調して
つぎつぎと 別の個体が姿を現した
目だけはギラギラと光り
およそ何かを信じるということをしない
そして常に飢えている
安寧の土地を探し求めるようなこともせずに
ただうろうろとうろつき回るだけのそれらは
やがて大きな一つの群れとなり
渦を巻くように移動しながら
私の体を侵しはじめた
遠吠えが咆哮となり
ここから出せと内側から胸を掻きむしる
私はそれにあらがうすべを知らない
ただ嵐が過ぎ去るのを 待つだけだ
やがて朝日が部屋の窓を叩くと
それは 小さな悲鳴を上げて
それから逃げるように
元の森へと かえっていった
私の胸に
小さな引っ掻き傷を残して
さらにその奥にある
日の当たらない深い森の中から
一匹の獣がまろびでる
漆黒の体毛を持つそれは
ぶるっと身震いをした後で
空に向かって尾を引くような遠吠えを一つ上げた
悲しげで何かを求めるようなその声に同調して
つぎつぎと 別の個体が姿を現した
目だけはギラギラと光り
およそ何かを信じるということをしない
そして常に飢えている
安寧の土地を探し求めるようなこともせずに
ただうろうろとうろつき回るだけのそれらは
やがて大きな一つの群れとなり
渦を巻くように移動しながら
私の体を侵しはじめた
遠吠えが咆哮となり
ここから出せと内側から胸を掻きむしる
私はそれにあらがうすべを知らない
ただ嵐が過ぎ去るのを 待つだけだ
やがて朝日が部屋の窓を叩くと
それは 小さな悲鳴を上げて
それから逃げるように
元の森へと かえっていった
私の胸に
小さな引っ掻き傷を残して