第21話 夏
文字数 482文字
～フジイのアパート付近の住宅街、午前11時25分～
(実 況)
空振り三振！試合終了ォ〜！！
(！！)
どこからともなく、
高校野球の実況中継が聞こえてくる。
(実 況)
・・・一方、惜しくも1回戦で敗れた
ウゥゥ～ウゥゥゥ〜・・・
(夏なんだな。)
アイバは拳を握り締め、唇を噛む。
(いつもの・・・)
～同日、池袋、午後2時20分～
(！！)
(クノ？)
≪☎：あ、もしもし、夕方お前ん家寄っていい？≫
≪☎：ん？≫
≪☎：先週分のバイト代預かってるんで、
近くに行くついでに持ってく。≫
≪☎：あァ、サンキュ、
別に今日じゃなくてもいいんだけどな・・・≫
≪☎：じゃあ、5時過ぎに。≫
～同日、アイバのアパート、午後5時10分～
玄関のチャイムが鳴る。
(！！)
お弁当買ってきた、
外で食べないって言うから。
驚いたアイバが外を見渡す。
クノさんはいないよ。
(！！)
タケルくん？
・・・
中入ろうよ。
あ、ちょっ、
(！？)
(これ以上は・・・)
(？)
(抱き締めてしまう・・・)
お邪魔しまァ～す。
フジイが強引に部屋に上がる。
あッ・・・
荷物を置いたフジイは、
振り向きざまアイバに抱き着く。
(！！)
