第23話 陽だまり
文字数 748文字
～9月(2年生)、帰宅途中の電車内、午後6時20分～
(「新潟出身」っていうと大体「スキー滑 れんの？」って話になる。)
(県民全員が得意な訳じゃないって。)
～帰宅途中、ほぼ同時刻～
(「実家、長崎？もしかして今日も雨？」ってよく聞かれる。)
(降水量の全国順位はトップテンにも入っていないのに。)
(雪かきはウンザリだけど、冬は嫌いじゃない。)
(真冬の「陽だまり」とかさ。)
(ネコはそういうところを見つけるのが得意だ。)
(年間の平均気温は新潟県より長崎県の方が3度も高い。)
(なのに日照時間は新潟の方が長いみたい。)
(だからかな？人の温かいところに気づくのは。)
(いつか見た「陽だまり」に似てる。)
(サヤちゃん、似てるんだ。)
(オレの居場所、そんな「陽だまり」みたいな・・・)
(人の心の中には「陽だまり」があるのかもしれない。)
(本人も気づいていない。)
(そういうところに気づく人。)
(「陽だまり」は気分次第で場所を変えてしまう、気がつくと消えている。)
(それでもネコは追いかける、太陽の
(気まぐれなモノ同士。)
(私の中にもあるのかな？そんな「陽だまり」。)
(あったらいいけど、気づくかな？)
(だって私、気まぐれだから。)
(「陽だまり」は夜が苦手だ。)
(相手の心に「陽だまり」を作り出す？)
～アイバのアパート～
(見失ったらオレ、自信ないなァ、素直な性格なんで・・・太陽の匂いかァ・・・)
(声ならわかるのに。)
(だとしたらここまで届いてるかな、光。)
(「陽だまり」って太陽から産まれるんだよ。)
(だって、その声、「陽だまり」みたいだ。)
(木漏 れ日とも違う、
もっと優しくて、ずっと柔らかい光。)
(！！)
～フジイのアパート～
≪☎：もしもし、タケルくん？≫
(ほら・・・)
