第6話 洞 察
文字数 892文字
～6月(2年生)、大学～
≪☎：電話なんて珍しいね。≫
≪☎：すみません、突然。
ちょっと確認したいことがあって。》
≪☎：確認？≫
≪☎：はい、フジイさんの「鼓動」のことなんですけど。≫
(！！)
≪☎：あの写真って、
いつ頃撮ったモノか聞いてますか？≫
≪☎：聞いたことはないけど、時期としては・・・夏前？≫
≪☎：オレもそう思います、
撮りためていたモノでしょうか？≫
～翌日、大学～
先日は
ありがとうございました。
すみません、
時間とってもらっちゃって。
ううん、
また写真の話したかったし。
あのォ、
「鼓動」のことなんですけど・・・
(！！)
詳しく教えてもらってもいいですか？
うん、いいけど。
あの写真の撮影時期って、
いつくらいですか？
去年の5月かな。
あの、
アイバさんとつき合い始めたのは？
(！！)
ちょっと、ミヤシタくん！
去年の10月から。
ごめんなさい、フジイさん。
全然。
・・・
(？)
アイバさんと初めて会ったのは？
話をしたのは去年7月の学祭だけど。
・・・
アイバさんのことを知ったのは？
去年の5月。
(！！)
ビンゴだ！！
(！？)
(！？)
あの写真から感じてた雰囲気、
やっぱりアイバさんだったんだ！！
え！？
(！！)
違いますか？
確かにあの写真、
初めてタケルくんを見かけた日の翌日に撮ったモノだけど。
ですよね！
(！？)
え、どういうこと？
あの写真を見たとき、
不思議な感じがしたんです。
(！！)
上手く言えないけど、
何かモヤがかかってるみたいな、ハッキリとしない何かが・・・
あ、悪い意味じゃなくて、逆に神秘的っていうか、
(？)
写真の印象が変わったのは、そのモヤが晴れたからなんだ。
あの写真から感じてた雰囲気、アイバさんそのものだったんですよ！！
そのアイバさんを目の当たりにしたからあまりにも具体的過ぎて、
逆に違和感を感じたんだ。
(！！)
(凄い・・・そんなこと思いもしなかった。)
すみません、
根掘り葉掘り聞いちゃって・・・
ううん、
でも、よくわかったね。
あの作品は
生まれるべくして生まれたんですよ！
(出逢うべくして出逢った。)
(！！)
(初めて触れたモノ。)
(心をかすめたとき、表現は極めてシンプルになる。)
・・・
(「不思議」な人だ。)
