第25話 夕 景
文字数 998文字
～サヤの日記～
10月○日(○)
消えていく？このまま・・・
全部タケルくんのおかげ、タケルくんの・・・
～10月(2年生)、フジイのアパート～
(「人の心の温かいところに気づく人。」)
(もっと言えば「人の心の中に陽だまりを作り出せる人。」)
(そういうところに
(でもそれって、
裏を返せば「相手の欠点を見過ごしてしまう」っていうこと。)
(「見えているのに、見えない振りをしてしまう」っていうこと。)
(そんなところに甘えてた？私・・・ずっと？)
(甘えて助けられて、頼ってまた助けられて・・・)
～後日、喫茶店～
私、タケルくんに甘えてばっかりで・・・
(？)
自分じゃ
何1つ解決できてない・・・
(！！)
「先輩」のことも、「出展」のことも、全部・・・
・・・
何か、
自分がいなくなっちゃうみたいで・・・
へェ～。
(！？)
偶然。
え？
オレもそう思ってた。
(！！)
オレ、中学、高校とずっと野球漬 けでさ、
レギュラーになれずに腐ってて、
ただ漫然と過ごしてきた。
誰にも気づかれずに・・・
(！？)
今ではその野球もやめちゃって・・・
でも、気づいてくれる人がいたんだって思うだけで・・・何か救われて・・・
今ではこんなに甘えちゃってて・・・
・・・
こんなんでいいのかなって・・・
全然そんなこと、
なのに、
生きてるんだって思ったよ、初めて。
(！！)
今、お互いに埋め合ってるんだと思う、
足りないピース。
・・・
でも、
ピースに色なんてついていない。
(！！)
だから・・・
サヤちゃんは消えない。
(！！)
店内に綺麗な夕陽が射し込んでいる。
相談しよう。
え？
クスッ
(？)
相談しよォ♪
(！！)
クスッ
相～談しよォ～♪
(あ！)
・・・そォ・・・しよォ？
サァ～ヤちゃんが欲しいィ～♪
(！！)
クスッ
クスッ
じゃんけん・・・
じゃんけん・・・
あ、やっぱやめとく。
(？)
じゃんけん弱いんで。
クスッ
・・・
・・・
「どこにも行かない」って言ったよ。
・・・うん。
行かせない。
うん。
(何悩んでたの？私。)
(距離を置けば自分を責めずに済むと思ってる。)
(理由にならないでしょ？)
渡さない。
うん！
(自分の心が信じることをやめないでしょ？)
(お手本にすればいい。)
(離れちゃダメ、放しちゃダメでしょ？)
(いちばん近くにいなきゃダメでしょ？)
ポロッ
～サヤの日記～
10月○日(○)
いつか、あなたの心に
陽だまりを届けられますように。
(はないちもんめ♪)
