インド映画のような 後書き
文字数 3,108文字
10月23日 月曜日 夜
東中野 ムーンロード
化け物を作り出していた黒い煙が霧散した。
そこに連 とマルチネスがいた。
彼女はうなだれて丸く座り込んでいる。
フードの少年はそこに寄り添っている。
二人は黒い鎖で繋がっている。
連 の枷 は右上腕部に、マルチネスの枷 は首にはめられていた。
「あの鎖をとおして連 に騒獣 を供給しているんだ」
ムゥランが言った。
ユピテルは紙片を額にあてた。
この距離と角度、鎖だけを切ることは出来ない。
紙片が青白く発光した。
ならば…
ユピテルは目を見開き、投射 の構えをとる。
が、
――…出来ない…出来るわけがない…。
「う、打てよ…ユピ…。」
微かだが、確かな意思をのせた声だった。
「マァさん…。」
連 に寄り添うマルチネスがかつての同志を見つめた。
「頼む…打って…くれ…」
「マルチネス…すまない!」
が苦しい表情でつぶやくムゥランの握った拳は震えている。
「ムゥ…、おれ、頼れる仲間じゃなくて…ごめんな。…ユピ…良い見本になれなくて…すまなかったな…、アン…」
マルチネスはそこで一旦言葉を切り、
「もういいだろ…ムゥを許してやれ、あの時は、ああするしかなかった…。」
アントッティは唇を噛みしめ反論を飲み込んだ。
自分でも分かっているのだ。ムゥランに子供じみた八つ当たりをしていることくらい。
「さあ…打て!」
マルチネスは両手を広げ、目を閉じた。
その時、
軽快なベースのリフが聴こえた気がした。
いや、
「?!」
「?!」
「?!」
気のせいではない、確かにベースが聞こえた。
小気味良く歯切れのいいハネたリフである。
「…何だ?!」
「え!?どうして…」
「体が、勝手に…」
*
何処から聞こえるのだろう。
頭の中だけでなっているようでもあるし、この世界にまんべんなく届いているようでもある。
やがてベースラインにハイハットの裏打ちが乗る。いや並走している。
ベースのリフに相槌を打つように、或いは息継ぎをするようにオープン&クローズを繰り返す。
ユピテルがステップを踏みながら、
♪マァさん!最後にひとつ教えてください!
ターンを決め、かかとでリズムをとる。
♪一体どこの血を吸ったんですか!
ユピテルが歌うように、質問した。
♪どこの血吸った、どのへん噛んだフッフッフーー!
ムゥランとアントッティが社交ダンスのように絡みながらコーラスを決めた。
ドラムのフィル
そしてブレイク
一瞬の静寂の間に、マルチネスが答える。
「…に、二の腕だ…!」
♪二の腕だってー?! 二の腕だってー?!
♪二の腕だってー?! 二の腕だってー?!
サビだろうか。
全員ダンスに参加している。
既にキックとスネアが加わりグルーブを牽引している。
そこにムゥランのラップ。
♪お前それ正気?ラギュラポの禁忌
それやっちゃNG 始末書どころの騒ぎじゃねぇし
マルチネスのターン。
♪だって噛みたかったんだもん!わかるだろ!
ぷにぷにしててなんかもう我慢できなくって
全然韻 を踏めてない。
そこへユピテル。
♪噛みたい気持ちはわかります でも
噛んじゃう気持ちわかりかねます yo
「いいから早く打てー!恥ずかしいから!」
「マァさん!サヨナラ!」
スネアの連打が始まる。
「打つのかい?本当に…打つのかい?」
「自業自得です!打ちます!」
「よし!打て、打ってくれ!!」
「さらばマルチネス!!」
「待て!本当に打つのかい?」
スネアの連打は加速する。
「自分だけ女子の二の腕噛んで!」
「それは本当にすまなかった、次回はちゃんと誘う!」
「毎回そう言って!その手にはのりませんよ!打ちます!」
「待て待て!頼むワンチャン頼む!」
「打つ!絶対打つ!!!」
スネアの速度も密度も、そしてなんか湿度も最高潮!!!
ズドーーーーーーーーン!
重低音が轟いた。
そして静寂。
「…これ…何?雪?」
光の粒子が舞い落ちて来る。
いや違う、舞い上がっていく…。
「文字だ…。」
そうだ。良く見るとその光は小さな文字だ。文字が連なっている。
「まさか…エンドロール?!??」
足元の地面から次々とエンドロールが沸き上がって来る。
アントッティの描いた絵がパレードのように点滅しグラデーションが波打っている。
やがて、
しっとりとしたジャズナンバーのイントロが始まる。
足元からはエンドロールがキラキラと舞い上がり、ムーンロードを照らし上空へ去ってゆく。
四階の隠れ家 だった場所はだいぶ壊れて屋上みたいになっている。
そこではいつの間にか連 がバラードのゆったりしたビートを叩いていた。
そうだった。彼女ドラマーだった。
傍らではマルチネスがよく分からないコンテンポラリーダンス風の動きをしている。
上手いのか下手なのか判然としない。
踊りなのかストレッチなのかもハッキリしない。
うぃーーーんがしゃん!
ぼぼーーーん、ぼぼーーーん
突如、建物の壁が開いた。
壁の向こうはBar14 で、そこで飴井が演奏していた。
♪飴井が弾いていたのかーい!
ムゥランが渋い低音で歌う。
あ、少年だった。もうよく分からん。
ピアノの伴奏。
ストリングスが風のようにそれを包み込む。
「迅!」
玲奈が恋人の名を呼び駆け出す。
そのかたわら、アントッティの描いた戦車は隊列を成し祝砲を撃つ。
戦闘機がカラースモークを引いて夜空はキャンバスになった。
Reina & amazing!
の文字がハートマークで囲まれる。
「すごい!」
「見事だ!」
「素敵ね!」
ユピテル、ムゥラン、アントッティもその美しさを賞賛する。
誰も筆者を責めない。
皆、小刻みに震えているのは、涙をこらえているようでもあるし、笑いをこらえているようでもある。
眩い螺旋階段が現れクルクルと飴井のもとに伸びてゆく。
玲奈はそれを駆け上る。
駆け上り飴井に抱き着く。
「わ!ちょっと玲奈、弾いてるの。」
と言いつつも飴井は嬉しそうに笑った。
*
演奏は止まり都内某所
「やっぱり飴井迅で間違いなかったわね」
真っ白なドレスワンピに身を包んだ女が言った。
「もう後がないわよ、佐野場。」
足元に跪く男に向かって女は吐き捨てた。
「はい。頭の片隅に留め置かせて頂きま…」
「いや肝に銘じろや!!おかしかろ。」
「はい。お任せくだしゃい!」
「なんか任せらんね―わ…大丈夫かな…兎に角!」
女は立ち上がった。
「次こそチャカデガルポの核 に繋がる継 ぎ目 を…必ず手に入れて見せる!」
そして女はワイングラスを一息にあおる。
「恋愛 の小姑 ミハコンの名に懸けて!」
*
7月2日 21時46分 筆者自室
ヌルルです。
なんか本当すみません。
反省してます。天狗になってました。
四月に一作書き切れたから、あとちょっと頑張れば小説家になれる、って思ってはしゃいでました。
申し訳ありません。
今、目の前に悲惨な状態の作品があります。
なんか中盤くらいから、なんか何書きたいか見失っちゃって、それでも書き切ろう、書き切ろうって自分に鞭 打ってたらだんだん気分が良くなってしまって…。
もういいんだ好きに書いていいんだ。
僕が小説書くこと自体が既に大失敗なんだから、読んで下さる方々が納得するような大失敗をやろう、
みたいな境地になってきて。
でも絶対失敗しなきゃ、てゆうのも結局プレッシャーで、大失敗できなかったらどうしよう。。。、失敗すること失敗したらどうしよう。。。
となり、どちらにしろ辛い時期もありました。
まぁ兎に角です、
こんなクソみたいな駄作、最後まで読んで下さってありがとうございます。
みなさん神なんですかね。
神様なんでしょうかね。
いつか読んで下さった全ての皆さんにきちんと有難うを伝えられるような語彙力や創作力を身に着けたい。
もう少しだけ、ヌルルを見捨てないでくだい。
次こそ、静かにじわっと胸が暖かくなるような読後感のある作品を書いてみせます!
ヌルル・フレデリッヒ
東中野 ムーンロード
化け物を作り出していた黒い煙が霧散した。
そこに
彼女はうなだれて丸く座り込んでいる。
フードの少年はそこに寄り添っている。
二人は黒い鎖で繋がっている。
「あの鎖をとおして
ムゥランが言った。
ユピテルは紙片を額にあてた。
この距離と角度、鎖だけを切ることは出来ない。
紙片が青白く発光した。
ならば…
ユピテルは目を見開き、
が、
――…出来ない…出来るわけがない…。
「う、打てよ…ユピ…。」
微かだが、確かな意思をのせた声だった。
「マァさん…。」
「頼む…打って…くれ…」
「マルチネス…すまない!」
が苦しい表情でつぶやくムゥランの握った拳は震えている。
「ムゥ…、おれ、頼れる仲間じゃなくて…ごめんな。…ユピ…良い見本になれなくて…すまなかったな…、アン…」
マルチネスはそこで一旦言葉を切り、
「もういいだろ…ムゥを許してやれ、あの時は、ああするしかなかった…。」
アントッティは唇を噛みしめ反論を飲み込んだ。
自分でも分かっているのだ。ムゥランに子供じみた八つ当たりをしていることくらい。
「さあ…打て!」
マルチネスは両手を広げ、目を閉じた。
その時、
軽快なベースのリフが聴こえた気がした。
いや、
「?!」
「?!」
「?!」
気のせいではない、確かにベースが聞こえた。
小気味良く歯切れのいいハネたリフである。
「…何だ?!」
「え!?どうして…」
「体が、勝手に…」
*
何処から聞こえるのだろう。
頭の中だけでなっているようでもあるし、この世界にまんべんなく届いているようでもある。
やがてベースラインにハイハットの裏打ちが乗る。いや並走している。
ベースのリフに相槌を打つように、或いは息継ぎをするようにオープン&クローズを繰り返す。
ユピテルがステップを踏みながら、
♪マァさん!最後にひとつ教えてください!
ターンを決め、かかとでリズムをとる。
♪一体どこの血を吸ったんですか!
ユピテルが歌うように、質問した。
♪どこの血吸った、どのへん噛んだフッフッフーー!
ムゥランとアントッティが社交ダンスのように絡みながらコーラスを決めた。
ドラムのフィル
そしてブレイク
一瞬の静寂の間に、マルチネスが答える。
「…に、二の腕だ…!」
♪二の腕だってー?! 二の腕だってー?!
♪二の腕だってー?! 二の腕だってー?!
サビだろうか。
全員ダンスに参加している。
既にキックとスネアが加わりグルーブを牽引している。
そこにムゥランのラップ。
♪お前それ正気?ラギュラポの禁忌
それやっちゃNG 始末書どころの騒ぎじゃねぇし
マルチネスのターン。
♪だって噛みたかったんだもん!わかるだろ!
ぷにぷにしててなんかもう我慢できなくって
全然
そこへユピテル。
♪噛みたい気持ちはわかります でも
噛んじゃう気持ちわかりかねます yo
「いいから早く打てー!恥ずかしいから!」
「マァさん!サヨナラ!」
スネアの連打が始まる。
「打つのかい?本当に…打つのかい?」
「自業自得です!打ちます!」
「よし!打て、打ってくれ!!」
「さらばマルチネス!!」
「待て!本当に打つのかい?」
スネアの連打は加速する。
「自分だけ女子の二の腕噛んで!」
「それは本当にすまなかった、次回はちゃんと誘う!」
「毎回そう言って!その手にはのりませんよ!打ちます!」
「待て待て!頼むワンチャン頼む!」
「打つ!絶対打つ!!!」
スネアの速度も密度も、そしてなんか湿度も最高潮!!!
ズドーーーーーーーーン!
重低音が轟いた。
そして静寂。
「…これ…何?雪?」
光の粒子が舞い落ちて来る。
いや違う、舞い上がっていく…。
「文字だ…。」
そうだ。良く見るとその光は小さな文字だ。文字が連なっている。
「まさか…エンドロール?!??」
足元の地面から次々とエンドロールが沸き上がって来る。
アントッティの描いた絵がパレードのように点滅しグラデーションが波打っている。
やがて、
しっとりとしたジャズナンバーのイントロが始まる。
足元からはエンドロールがキラキラと舞い上がり、ムーンロードを照らし上空へ去ってゆく。
四階の
そこではいつの間にか
そうだった。彼女ドラマーだった。
傍らではマルチネスがよく分からないコンテンポラリーダンス風の動きをしている。
上手いのか下手なのか判然としない。
踊りなのかストレッチなのかもハッキリしない。
うぃーーーんがしゃん!
ぼぼーーーん、ぼぼーーーん
突如、建物の壁が開いた。
壁の向こうは
♪飴井が弾いていたのかーい!
ムゥランが渋い低音で歌う。
あ、少年だった。もうよく分からん。
ピアノの伴奏。
ストリングスが風のようにそれを包み込む。
「迅!」
玲奈が恋人の名を呼び駆け出す。
そのかたわら、アントッティの描いた戦車は隊列を成し祝砲を撃つ。
戦闘機がカラースモークを引いて夜空はキャンバスになった。
Reina & amazing!
の文字がハートマークで囲まれる。
「すごい!」
「見事だ!」
「素敵ね!」
ユピテル、ムゥラン、アントッティもその美しさを賞賛する。
誰も筆者を責めない。
皆、小刻みに震えているのは、涙をこらえているようでもあるし、笑いをこらえているようでもある。
眩い螺旋階段が現れクルクルと飴井のもとに伸びてゆく。
玲奈はそれを駆け上る。
駆け上り飴井に抱き着く。
「わ!ちょっと玲奈、弾いてるの。」
と言いつつも飴井は嬉しそうに笑った。
*
演奏は止まり都内某所
「やっぱり飴井迅で間違いなかったわね」
真っ白なドレスワンピに身を包んだ女が言った。
「もう後がないわよ、佐野場。」
足元に跪く男に向かって女は吐き捨てた。
「はい。頭の片隅に留め置かせて頂きま…」
「いや肝に銘じろや!!おかしかろ。」
「はい。お任せくだしゃい!」
「なんか任せらんね―わ…大丈夫かな…兎に角!」
女は立ち上がった。
「次こそチャカデガルポの
そして女はワイングラスを一息にあおる。
「
*
7月2日 21時46分 筆者自室
ヌルルです。
なんか本当すみません。
反省してます。天狗になってました。
四月に一作書き切れたから、あとちょっと頑張れば小説家になれる、って思ってはしゃいでました。
申し訳ありません。
今、目の前に悲惨な状態の作品があります。
なんか中盤くらいから、なんか何書きたいか見失っちゃって、それでも書き切ろう、書き切ろうって自分に
もういいんだ好きに書いていいんだ。
僕が小説書くこと自体が既に大失敗なんだから、読んで下さる方々が納得するような大失敗をやろう、
みたいな境地になってきて。
でも絶対失敗しなきゃ、てゆうのも結局プレッシャーで、大失敗できなかったらどうしよう。。。、失敗すること失敗したらどうしよう。。。
となり、どちらにしろ辛い時期もありました。
まぁ兎に角です、
こんなクソみたいな駄作、最後まで読んで下さってありがとうございます。
みなさん神なんですかね。
神様なんでしょうかね。
いつか読んで下さった全ての皆さんにきちんと有難うを伝えられるような語彙力や創作力を身に着けたい。
もう少しだけ、ヌルルを見捨てないでくだい。
次こそ、静かにじわっと胸が暖かくなるような読後感のある作品を書いてみせます!
ヌルル・フレデリッヒ