櫛引の四季
櫛引《くしびき》は山形県鶴岡市の東部、赤川の流域で、かつては東田川郡櫛引村と言われた地域である。赤川にかかる黒川橋の上からは、月山、朝日連峰の山々、母狩山と金峯山、鳥海山が一望できる。辺りでは、稲作、枝豆、サクランボ、桃、葡萄、梨、林檎などの栽培が、盛んに行われている。東京で暮らしていた私は、この自然豊かな土地の魅力に取りつかれ、移住してきた。ここに来てから、それまで忘れていたこと、本当はそこにあるのに心が感じられなくなっていたことなどを、ポツリポツリと思い出したり、感じたりするようになった。それらを少しずつでも書き留めておこうと筆をとったのが、この「櫛引の四季」である。
目次
連載中 全24話
2024年04月12日 16:37 更新
- 第1話 ゆったりと野の草花を見る(夏の終わり)2022年08月30日
- 第2話 お寺の鎧が紡いだ縁(秋の初め)2022年09月09日
- 第3話 秋を感じながら機織りをする(秋)2022年10月15日
- 第4話 秘湯に浸かりカメムシを思う(秋)2022年11月09日
- 第5話 わらぼっちを作ってオーロラを見た(冬の初め)2022年12月04日
- 第6話 泣いて藤の木を伐る(冬の初め―東京番外編)2022年12月15日
- 第7話 帰り来る人、迎える人(冬―暮れから正月)2023年01月10日
- 第8話 双眼鏡の先にオオワシがいた(真冬)2023年02月06日
- 第9話 日の光に誘われて走ったらまだ冬だった(春の少し前)2023年03月06日
- 第10話 羽黒山五重塔はしばしの見納めですよ(春のはじまり)2023年11月19日
- 第11話 久しぶりに水泳大会に行って来た(春)2023年04月22日
- 第12話 竹取爺さんは見た、かぐや姫の涙(春)2023年05月05日
- 第13話 カッコウで目覚め蛙の声で眠る(梅雨の終わり)2023年07月11日
- 第14話 赤川の畔で黒川能「水焔の能」を見る(夏)2023年07月31日
- 第15話 赤川花火は回想と鎮魂の夕べだった (夏)2023年08月21日
- 第16話 雨男雨女よ、庄内に来たれ(夏の終わり)2023年09月06日
- 第17話 由良の夕陽を見て愛を語れ(夏から秋に変わる日)2023年10月02日
- 第18話 杜の声を聴きに行って来た(秋)2023年10月27日
- 第19話 雨の中で知人は友人になった(秋の終わり)2023年11月21日
- 第20話 モズのハヤニエにならって雪見酒をする(冬の初め)2023年12月22日
- 第21話 正月早々“怪物熊”が教えてくれたこと(冬)2024年01月04日
- 第22話 心に鳥を抱いたら見えて来たもの(冬)2024年01月24日
- 第23話 ピアノの音色に魂が震えた夜(冬)2024年02月21日
- 第24話 スプリング・エフェメラルと戦争(春)2024年04月12日
登場人物
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いつ読んでもいい文章で感動しています。 それにしても花が咲き乱れる春の庄内の自然と、瓦礫の街と化したウクライナの戦場の対比が強烈です。ソ連も地球の温暖化で永久凍土が融け出している、自分の国が融けている時に他国を攻めている場合ではないと思うのですが、如何なもんでしょうかねぇ…。
コンサート、美術館、ブラス東京の大雪の3点セットの経験はそうそうないですね。 痩竹さんの文章表現は素晴らしくて光景が目に浮かびます。 そうなんです!田舎の子達の夢は!私もとにかく田舎から脱出したかった頃を思い出して思わず笑いました。
毎回、いい文章を有り難うございます。 おそらく筆者と同じ、東京から庄内に移って来た者として、感ずるところ同じです。庄内の自然の中にいると動物として自然を受け入れ溶け込んでしまう。一方、東京では多種多様な人が集まり、創造のエネルギーが溢れている。東京にあって庄内にないもの、また庄内にあって東京にないもの、どちらか一方しか知らないのはもったいない話です。 機動力を生かして、時々は東京の空気を吸うことが、庄内の良さを再認識するいい機会になるのではと思いました。んだ。
文章も上手いのですね。文章に情景が浮かびます。自分は全く駄目でNHK文章講座を数年受講しましたがさっぱりです。もうこれは才能の問題だとあきらめました。写真も長年やっていますがこれも中途半端に終わっているようです。才能とはやはりもって生まれたものかもしれません。
父は鳥が大好きですだったので生きていたらオオワシを見せに連れていきたがった。田舎育ちの主人は簡単にはオオワシは見れないんだぞ!という言葉を思い出しました!甥っ子さん田舎ライフを楽しめましたね
いつも格調の高い文章を、尊敬して読まさせてもらっています。庄内は鳥の宝庫なんですね。知りませんでした。 それにしても、飛ぶ鳥の写真はどれも見事で感動しています。自分は羽田空港で飛行機の写真に挑戦したことがあるのですが、あの大きな飛行機でさえ、超望遠レンズでピントを外さずに追いかけるのは大変でした。トリミングはされているのですか? 今度、赤い鳥の「翼をください」を一緒に歌いましょう。そんな気持ちになりました。