星のように樹のように 聖巨兵カセドラ短編集

[ファンタジー]

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「この世界には、わたしたちが暮らしたすべての日々のすべての記憶が、一つ残らずきちんと保存されるだけの広さと大きさがあるんだと、その時とつぜんわたしは思いました……」(『星のように樹のように』)

◆『聖巨兵カセドラ』シリーズ初の短編作品集。『本編』および『独唱編』(共に長編シリーズ)においてそれぞれの作品の主人公と関わりを持つ登場人物たちが、ここでは各短編の主役を務める。これらもまたすべて、語られるべくして語られた〈人生の物語〉。


【収録作品紹介】

♪『序奏』~『間奏集』~『終奏』
――初めて一人きりでお留守番をすることになったある少女の一日を、時間の経過とともに綴った物語。時にのびやかに、時にせわしなげに、そして時にさびしげに、彼女の一日は豊かな時を刻んでゆく。

♪『もしも僕が家を建てたなら』
――新米教師ハスキルと、おなじく新米騎士のレイ。春の青空の下、幼馴染みどうしの二人は、今日も静かに深く互いを想いあう。けれど長らく彼女たちを見守ってきた保護者がわりのモニクは、なにやら毎日やきもきしてばかりのようで……。

♪『顔のない鯨』
――欠けてしまった魂を抱いて、明日なき道をさまよいつづける孤独な旅人。迷いこむように訪れた辺境の街で、彼は風変わりな絵描きの娘と出逢う。彼女の導きにより、いつしか彼は彼自身の内なる海の暗き底に、そっとその身を横たえる。

♪『渚にて』
――獣医師のデビィは、恋人を連れて故郷の生家へ帰省する。夜が深まり、みなが寝静まると、彼女は一人で庭のほとりの浜辺へ降り立つ。そこで彼女は自身が幼少期に体験した不思議な出来事と、忘れがたい初恋の記憶を辿りはじめる。

♪『カスタネット・アルコットの数奇な運命』
――おてんばだけど、心根は優しい少女カスタネット。美しい高原の大自然と賑やかな家族たちに囲まれて、彼女の人生はめまぐるしく過ぎてゆく。たくさんの夢と、それよりほんの少し多い挫折を抱きしめて、今日も明日も明後日も、カスタネットの歩みは続く。

♪『わたしたちが祈っている場所』
――聖堂の奥にたたずむ一人の青年。そして聖堂の扉をくぐる一人の若い女性。別々の世界に生きる、出逢うはずのなかった彼と彼女。別々の喪失を抱える、出逢うはずのなかった空白と空白。深淵のほとりでそれらが重なりあう時、再生の炎まといし神話の鳥がその姿を顕す。

♪『蜂蜜同盟』
――建国記念祭に沸く王都の空を舞う、妖精みたいに小さな少女。新天地を求めて故郷の里を飛び出してきたアトマ族のレスコーリアは、ぺこぺこのお腹を抱えて狂騒の街でてんてこまい。ついに力尽きた彼女が墜落した先には、とびきり賢い頭と真っ赤な髪をもつ、一人の人間の女の子がいた。

♪『おなじところへ帰るところ』
――ひょんな巡りあわせで異邦の古城を訪れることになった、幼き日のノエリィとピレシュ。少女たちにとって初めての、二人きりでの鉄道旅行。夏の湖、色彩の町、白亜の城。水底の月と、浮上する月。失われた心と、それを満たすべつの心。幼くも気高い、愛と救済の物語。

※『題詞』引用元:吉田秀和『主題と変奏』中央公論新社

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小説情報

星のように樹のように 聖巨兵カセドラ短編集

伊能 果位  INOU-Kai

執筆状況
完結
エピソード
16話
種類
一般小説
ジャンル
ファンタジー
タグ
ファンタジー, ヒューマンドラマ, 日常, 群像劇, コメディ, シリアス, ほのぼの, 短編, 友情, 文学
総文字数
164,118文字
公開日
2022年02月19日 21:47
最終更新日
2024年01月31日 12:16
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