間奏Ⅳ 午睡

文字数 431文字

 お腹いっぱいになったら、やっぱり予想していたとおり、すごく眠たくなりました。でも、起きた時に誰もいないのを考えるとちょっと怖い気がしたので、いっそのこと外でお昼寝してみようと思い立ちました。外と言っても、家から歩いてすぐの草原(くさはら)です。そこも、庭の一部みたいなものです。あなたもしばらく一人で羽を伸ばしてね、と家に向かって声をかけてから、わたしは毛布を抱えて玄関を出ました。
 蓑虫(みのむし)みたいに体を毛布でぐるぐる巻きにすると、わたしは柔らかな芝生のうえにごろんと寝転びました。息が止まりそうなほど真っ青な空が、目の前いっぱいに広がりました。地面はぽかぽかと温かく、そよ風が花や草の香りを運んできます。まわりには誰の気配もありません。今日はめずらしくみんな出掛けていて、この丘の広場にはわたしのほかに誰もいません。ぜんぶ独り占め、というやつです。
 ここでもまた、小鳥たちの歌がわたしを包んでくれました。目覚めた時にも、きっとそれはわたしを孤独から(まも)ってくれているはずです。
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