第16話 拘留 第1章 1月4日 第2節 人にしてきたことをされる

文字数 540文字

 1月4日、6:00以降。

 「申し訳ございませんでした!」
 ベムは、刑務官たちを前に
全裸で土下座をしていた。

 「もっと大きな声で」
 刑務官たちが一斉に、
脅迫と嘲笑に満ちた声でベムに強要した。

 ベムが信者などにしていたことを、
ベムに対してしているのだ。

 「申し訳ございませんでした!」
 「もっと大きな声で」
 「申し訳ございませんでした!」
 「もっと大きな声で」
 「申し訳ございませんでした!」
 「もっと大きな声で」

 全裸で土下座しながらベムは、
長年自分がしてきたことを
させらされていた。

 「自分の願いが
聞き入れてもらえないのは、
どんな気分ですか?」

 「求めよ、さらば与えられん、
ではなくて、
あなたが教会でやっていることは、
求めても与えてもらえないよ、
ということなのですか?」

 反省の色を見せなかったベムに対し、
警察官、刑務官が口々に指導した。

 「申し訳ございませんでした!」
 「もっと大きな声で」
 「申し訳ございませんでした!」
 「もっと大きな声で」
 「申し訳ございませんでした!」
 「もっと大きな声で」
 「申し訳ございませんでした!」
 「もっと大きな声で」

 全裸のベムは、床に額を付けたまま、
同じ姿勢で土下座し続けた。
 夜通し行われた懲罰で疲れ切ったベムに、
睡眠時間が与えられた。
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登場人物紹介

ベム:キリスト教の亜流、ダレム教の最上位神父。ゼップル県ルイク市の中堅神父時代を経て、ニュウベラス県ピュク町のダレム教会最上位神父に昇格して現在に至る。人生哲学が独特で、女性に対して残忍である。

テレヌ:ベムの現在の恋人。ベムに名前を『ロン』と偽られている。ベムに結婚の約束をされていて、100万ゴールドを貸している。以前はアダルトビデオに出演していたこともある性依存症の女性である。

ロン:ニュウベラス県ピュク町のダレム教会の中堅神父。ハンサムなので女性信者のファンが多い。ベムに嫉妬されていて、身体的虐めを度々受けている。ベムを軽蔑している。

パレ:ニュウベラス県ピュク町のダレム教会の神父。ベムの複雑かつ権威主義的心理を理解し、ベムの神経を逆なですることはない。ベムに気に入られて可愛がられている。神父としての昇格を狙っている。

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