第13話 12月31日 第3章 事情聴取 第3節 紆余曲折

文字数 746文字

 テレヌへの借金
100万ゴールドの
返済方法についての聴取が始まった。

 「テレヌのことは、
申し訳ないことをしたとは
思っていなくて」

 ベムは淡々と供述している。
全く反省はしていないようだ。

 「辞めてほしかったんですよ。
パート従業員を。
できればもっと、
高収入な仕事に就いて欲しいんだよなあ」

 ベムはテレヌの就職先と
収入について言及した。

 「テレヌは好き者なんですよ。
それでね、
かなり大きいんですよ、あそこが。
大きいから、
気持ち良くなくなっちゃうんですよぉ」

 供述内容が、
支離滅裂とまではいかないけれど、
あちらこちらに飛ぶ。

 しかし、言いたいことは、
テレヌはセックスが好きだから、
高収入である
性風俗の仕事に
就いて欲しいと思っている、
ということらしい。

「テレヌさんは
何のパートをされているんですか?」

「スーパーのレジ係かな、多分」

「テレヌさんが貯めた
100万ゴールドについて、
どう思いますか」

「そうですねえ。
警察の方は、どう思われますか」

「ずいぶん苦労して
貯めたお金だと思います」

「僕はそうは思いません。
僕は、年金暮らしの生活ができません。
なぜかというと、
ひとたびお金を使い出すと、
かなりの大金が
必要になってくるからです」

 やはり、
ベムの供述は
支離滅裂と言えるのかもしれない。

 しかし老後が不安なので、
高収入の女性のヒモになりたい、
ということだろう。

「意味がわかんないです。
こんなに本を書いているのに、
あなたが言っていることは、
脈絡がよくわかりません」

 男性警察官は、
警察を馬鹿にしているのか、
本当に支離滅裂なのか、

いずれにせよ、
あれだけの著書が
あるにもかかわらず、
対話の論点が
ずれることが多すぎるし、

聞かれたことに対して
真っ直ぐに答えないし、

自分の言いたいことだけを
淡々と語られて、
イライラしてきた。
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登場人物紹介

ベム:キリスト教の亜流、ダレム教の最上位神父。ゼップル県ルイク市の中堅神父時代を経て、ニュウベラス県ピュク町のダレム教会最上位神父に昇格して現在に至る。人生哲学が独特で、女性に対して残忍である。

テレヌ:ベムの現在の恋人。ベムに名前を『ロン』と偽られている。ベムに結婚の約束をされていて、100万ゴールドを貸している。以前はアダルトビデオに出演していたこともある性依存症の女性である。

ロン:ニュウベラス県ピュク町のダレム教会の中堅神父。ハンサムなので女性信者のファンが多い。ベムに嫉妬されていて、身体的虐めを度々受けている。ベムを軽蔑している。

パレ:ニュウベラス県ピュク町のダレム教会の神父。ベムの複雑かつ権威主義的心理を理解し、ベムの神経を逆なですることはない。ベムに気に入られて可愛がられている。神父としての昇格を狙っている。

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