第16話 拘留 第1章 1月4日 第5節 在宅起訴

文字数 550文字

 1月4日、16:08。

 「すみませんでした」
 ベムは謝罪している。

 「詐欺容疑の件で
おそらく立件されると思われます。
裁判日時などの通達は
だいぶ先になると思いますが、
それまでは在宅起訴の形を
取らせていただきます」
 警察官が決定事項をベムに伝えた。

 「はい、わかりました」
 ベムは素直に了承した。

 「あーあ」
 ベムがため息をついた。

 ベムはしばらく、
警察署に拘留されることが決まった。

 聴取と聴取の間の待ち時間が長いので、
その間は女性警察官と雑談をした。


 1月4日、19:20。

 ベムは、在宅起訴についてと、
警察側からテレヌに伝えた内容について、
女性警察官から説明を受けた。

 「そんなこと言われてもさぁ」

 優しそうな女性警察官に対して、
在宅起訴や、
300万ゴールドをテレヌに
返すことなどが不服である、
とでも言いたげだった。

 しばらく、女性と淫行ができないこと
を嘆いているのだ。

 警察はテレヌに対して、
ベムの借金は、
風俗通いのためだった、と説明し、
ファラ町への出張のために必要な資金
ではなかったことを伝えたのだった。


 1月4日、19:40。

 「ホントにすまないことをしたとは
思ってるんですけど。厳しい決定…」
 ベムがぼやいた。

 「二課につないでください」
 詐欺罪などについて担当する
捜査二課につながれた。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

ベム:キリスト教の亜流、ダレム教の最上位神父。ゼップル県ルイク市の中堅神父時代を経て、ニュウベラス県ピュク町のダレム教会最上位神父に昇格して現在に至る。人生哲学が独特で、女性に対して残忍である。

テレヌ:ベムの現在の恋人。ベムに名前を『ロン』と偽られている。ベムに結婚の約束をされていて、100万ゴールドを貸している。以前はアダルトビデオに出演していたこともある性依存症の女性である。

ロン:ニュウベラス県ピュク町のダレム教会の中堅神父。ハンサムなので女性信者のファンが多い。ベムに嫉妬されていて、身体的虐めを度々受けている。ベムを軽蔑している。

パレ:ニュウベラス県ピュク町のダレム教会の神父。ベムの複雑かつ権威主義的心理を理解し、ベムの神経を逆なですることはない。ベムに気に入られて可愛がられている。神父としての昇格を狙っている。

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み