第6話 12月25日のダレム教会 第2章 21歳の神様

文字数 607文字

第2節 ポーカーフェイス

 「ご年齢を確認したいのですが」

 子供のような風貌の女性であった。

 万が一、
未成年に洗礼を施したとなれば、
刑事罰は必至だ。

 「21歳です」

 クリア。

 ホッとすると同時に、

こんなに若い女性と
クリスマスにセックスができる・・・

 ベムは
神様からのクリスマスプレゼントだ
と、本気で思った。

 女性信者はベムとは初対面であった。
 ベムの出張中に、
初回の洗礼を済ませて
信者になった女性らしい。

 初回の洗礼も、
ベムを希望したのだろうか。

 洗礼室、実質は調教室に案内する。
 今のところ他の神父はいない。
 女性信者の様子を見て、
受付嬢はだまって扉を閉め、
入ってくることはなかった。
 
 ベムはもともとは
女性恐怖症であった。
 初対面の女性と
2人きりで防音室にいる恐怖。

 その必死に抑圧している恐怖心を
読み取られないよう、
ポーカーフェイスを気取ったが、
体が震え、冷や汗が流れてきた。

顔もひきつってきて、
どうしようもなくなってきた。

 21歳のベムのファンは、
そのようなベムの様子を、
先程の幼い雰囲気とは打って変わって、
穏やかな優し気な表情で見つめていた。

 目が潤んでいた。

 ゆっくりと着衣を脱いでいった。
 時々ベムは顔を上げて、
時々脱ぐ様子をチラ見した。

 女性信者は視線を
ベムの目から外さなかったので、
その都度目が合った。

 幼い雰囲気を醸し出しながらも、
ベムの弱さといやらしさを見抜いたような
上目遣いでベムを見続けた。
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登場人物紹介

ベム:キリスト教の亜流、ダレム教の最上位神父。ゼップル県ルイク市の中堅神父時代を経て、ニュウベラス県ピュク町のダレム教会最上位神父に昇格して現在に至る。人生哲学が独特で、女性に対して残忍である。

テレヌ:ベムの現在の恋人。ベムに名前を『ロン』と偽られている。ベムに結婚の約束をされていて、100万ゴールドを貸している。以前はアダルトビデオに出演していたこともある性依存症の女性である。

ロン:ニュウベラス県ピュク町のダレム教会の中堅神父。ハンサムなので女性信者のファンが多い。ベムに嫉妬されていて、身体的虐めを度々受けている。ベムを軽蔑している。

パレ:ニュウベラス県ピュク町のダレム教会の神父。ベムの複雑かつ権威主義的心理を理解し、ベムの神経を逆なですることはない。ベムに気に入られて可愛がられている。神父としての昇格を狙っている。

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