第16話 拘留 第1章 1月4日 第7節 暴行傷害、金銭詐取

文字数 595文字

 1月4日、20:58。

 「テレヌさんですが、
蝋を垂らされた経験は初めてで、
かなりショックだったみたいなんですよ。
そこで、淫行に関しては、
お互い合意の上であったと
認めてあげますけれども、
熱い蝋を垂らしてしまったことについては、
暴行傷害に該当する案件になり、
捜査一課の管轄になります。
詐欺については、引き続きこの二課で
捜査を継続していきます」

 「少し軽くなるんですか?刑罰は」

「うーん、どうなんでしょうね。
それは検察官が判断することで、
我々は捜査内容を
伝えるところまでなんですよ」


 「蝋燭は今は置いておきましょう。
お金を借りようと思った
きっかけはなんですか?」

 「風俗や、スナック通い」

 「あなた神父なのに、
毎晩そういうところで
遊んでいたんですか?」

 「毎晩じゃありませんけど」

 「それを、
テレヌさん家に切り替えたのは、
いつごろからですか?」

 「よく覚えていません」

 「切り替えた時期に、
なにか不都合なことでもあるんですか?」

 遊ぶ金が無くなったから、
紹介された女を娼婦にして
ヒモになっただけである。
 

 1月4日、21:55。

 「あなたが今まで
行ってきた所業の中で、
一番悪いことは何ですか?」
 優しそうな警察官が尋ねた。

 ベムは固く口を結んだまま答えなかった。

  この日の深夜から早朝にかけても、
ベムは淫行に関する懲罰を受けていた。

 眠るのを許されたのは、
午前7時から午前10時までであった。
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登場人物紹介

ベム:キリスト教の亜流、ダレム教の最上位神父。ゼップル県ルイク市の中堅神父時代を経て、ニュウベラス県ピュク町のダレム教会最上位神父に昇格して現在に至る。人生哲学が独特で、女性に対して残忍である。

テレヌ:ベムの現在の恋人。ベムに名前を『ロン』と偽られている。ベムに結婚の約束をされていて、100万ゴールドを貸している。以前はアダルトビデオに出演していたこともある性依存症の女性である。

ロン:ニュウベラス県ピュク町のダレム教会の中堅神父。ハンサムなので女性信者のファンが多い。ベムに嫉妬されていて、身体的虐めを度々受けている。ベムを軽蔑している。

パレ:ニュウベラス県ピュク町のダレム教会の神父。ベムの複雑かつ権威主義的心理を理解し、ベムの神経を逆なですることはない。ベムに気に入られて可愛がられている。神父としての昇格を狙っている。

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