静寂

「……うわっ？！お化け？！」

フラッシュの閃光が走った瞬間、聞き覚えのない声が同時に響いた。

……は？お化け？？

私は訳がわからず呆ける。降り注ぐ雨をそのまま、今聞こえた言葉について考える。

お化けってどういう事だ？
だいたい誰だ？

私は周囲に人がいないか探す。しかし私達の他は誰もいない。訳がわからなかった。

いつの間にか、私を囚え締め上げる無数の糸の感覚は消え、辺りは沈黙と雨音に満たされていた。時折、ボタッと垂れる大きめの雨垂れの音が響く。

枯れかけた二色の紫陽花の根本、私は埋められていた友人と失禁して気を失った知人の間に座り込み、呆然としていた。その手に力なく握られた簡易カメラ。

「……ククッ……マジか……よ……。」

どれくらいそうしていただろう？短い様な長い様な静寂。ふと見ると、知人が意識を取り戻し地べたに怠そうに座り込んだ。そして雨降る森を見上げカラカラと笑った。