囁き
文字数 384文字
何で紫陽花?それがモロに顔に出ていたのだろう。雨の中、かなり切羽詰まりながら彼は言う。
「紫陽花は謎の多い花だ。知ってるか?日本が原産だって?アジアじゃない日本原産の花だ。」
「は?嘘だろ?」
「嘘じゃない。出回っている紫陽花の多くはシーボルトが持ち帰って品種改良され逆輸入されたものだ。だが日本には古来から原種があった。それだけこの地との結びつきが強い。無機物だって百年の時を経て付喪神になるこの国で、古来よりこの地にのみ咲く花に何もないと思うか?!」
そう言われても曖昧に頷くしかない。
「いいから紫陽花を探せ!この時期、山中ならまだ花を咲かせているはずだ!」
しとりしとりと雨露が闇を伝う中、私達は山道沿いを手分けして紫陽花を探す。彼が言うには人目に付く所にあるらしい。何故かと聞くと、でなければ噂が立たないからだと……。
『ふふっ……。』
「?!」
私のすぐ耳元で誰かが笑った。
「紫陽花は謎の多い花だ。知ってるか?日本が原産だって?アジアじゃない日本原産の花だ。」
「は?嘘だろ?」
「嘘じゃない。出回っている紫陽花の多くはシーボルトが持ち帰って品種改良され逆輸入されたものだ。だが日本には古来から原種があった。それだけこの地との結びつきが強い。無機物だって百年の時を経て付喪神になるこの国で、古来よりこの地にのみ咲く花に何もないと思うか?!」
そう言われても曖昧に頷くしかない。
「いいから紫陽花を探せ!この時期、山中ならまだ花を咲かせているはずだ!」
しとりしとりと雨露が闇を伝う中、私達は山道沿いを手分けして紫陽花を探す。彼が言うには人目に付く所にあるらしい。何故かと聞くと、でなければ噂が立たないからだと……。
『ふふっ……。』
「?!」
私のすぐ耳元で誰かが笑った。