胸騒ぎ

文字数 381文字

奥さんから知人を探して欲しいと依頼された。

ライターをしている知人はたまに姿を眩ませる。またかと思った奥さんは、私にも一度電話をよこした。

だが、それから一週間たっても、知人は誰にも連絡をよこさなかった。

流石に心配になった奥さんから正式な依頼を受けた。彼女の「胸騒ぎがする」と思い詰めた眼差しを見て、気持ちが少しは和らぐならと了承した。だが私も、足取りを追っているうちに見つけた手帳の手記を見、落ち着かなくなる。

「何なんだ?これは?」

漠然とした不安。
どこか遠くから誰かに見られているような気配。

そう、見られている。

ゆっくりと忍び寄る何かに戸惑う。自分の手に余るとオカルトに強い同業者を頼るが、彼は浮かない顔を見せる。

「こっちでも動向を追ってる噂だ。踏み込むなら覚悟がいるぞ?」

そう言われても何の覚悟をすればいいのやら……。感情の読みにくい相手を前に私は曖昧に笑った。
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