一閃
文字数 384文字
緊迫感が緩んだ時、私は咄嗟に失神したであろう知人に駆け寄ろうとした。
しかし、友人の体を抱え引き上げた格好で固まっていた私の体は上手く動かず、足が縺れ雨に濡れた腐葉土の上に派手にすっ転んだ。
枯草が蓄積していたお陰で泥塗れにならずに済んだがそんな事はどうでもいい。
急いで起き上がろうとした私の手に何かが当たる。使い捨てカメラだった。恐らくあの時の物が倒れた込んだ知人のポケットから落ちたのだろう。
私は無意識にそれを掴んだ。
そしてフィルムを巻き、構える。
無自覚だった。ありえない状況に晒され続けた為パニックを起こしていたのだと思う。
『アイツら、自己主張に得手不得手があるんだとよ。』
あの時、知人はニヤつきながらそう言った。霊体にはそれぞれ得意とする主張と不得意とする主張があるのだと……。
考えるよりも早く手がシャッターを斬る。闇の中、無駄に明るいフラッシュが夜の森を貫いた。
しかし、友人の体を抱え引き上げた格好で固まっていた私の体は上手く動かず、足が縺れ雨に濡れた腐葉土の上に派手にすっ転んだ。
枯草が蓄積していたお陰で泥塗れにならずに済んだがそんな事はどうでもいい。
急いで起き上がろうとした私の手に何かが当たる。使い捨てカメラだった。恐らくあの時の物が倒れた込んだ知人のポケットから落ちたのだろう。
私は無意識にそれを掴んだ。
そしてフィルムを巻き、構える。
無自覚だった。ありえない状況に晒され続けた為パニックを起こしていたのだと思う。
『アイツら、自己主張に得手不得手があるんだとよ。』
あの時、知人はニヤつきながらそう言った。霊体にはそれぞれ得意とする主張と不得意とする主張があるのだと……。
考えるよりも早く手がシャッターを斬る。闇の中、無駄に明るいフラッシュが夜の森を貫いた。