第54話 丘で

文字数 482文字

 二人は、船をおり、陸へ上がった。
 休んで、歩き出した。海辺の茂みをこえると、まわりは高い丘だ。
 その丘を上り、二人は見た。
「シイフの森だ」
 ネムは言った。
 二人は、丘の上にすわりこんでしまった。
「もどるんですか?」
「ガダルの河口までかい?」
「ええ」
「間に合わんな。南へ来すぎた」
 ネムは、腕を組んだ。レイシーズは、うしろに手をつき、足をのばした。
 ネムが言った。
「ガダル川は、突破されるだろう」
「そんな。アトロス島が加わっても?」
「おそらく」
「そうだとしても、人間たちには、あなたが必要ですよ」
「そうかな? わたしは、こう思うんだ。最後の戦いは、ルーンの地になるってね」
 レイシーズは、ネムを見つめた。
「ネム。あなたは……」
「そう。ここからルーンの地へいく」
 レイシーズは、少し考えてから、言った。
「あなたが行くというなら、行きます。でも、ルーンの地へは」
「サリュス連山を越えねばならん」
「ええ」
「森の人に、会えればな。彼らの案内があれば、ずっと楽なんだが」
 二人は、荷物から食べ物を出すと、冷たいのもかまわず食べた。
 そして、丘をおりると、森へと入っていった。
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