壱か八か(2023.9.17)

文字数 182文字

真っ暗な路地裏で
酔い潰れた君は
いくつもの
猫の眼に
囲まれる

姿は見えず
浮かび上がった
眼ばかり見える

どうしたって
逃げられそうにない

助けを
求めて
声の限り
叫んでみる


ウ〜、ワン
ワン


君は
犬になった

猫から
笑い声が
漏れる

緊張して
上擦って
しまったのだ

なんだ
大したことない
と退散する

壱か八か
叫んでみた
ことを
恥じなくていい

とことん追い込まれて
ようやく
必死になれたのだから

猫に
感謝しなくちゃ
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