自由なのだ、逃げろ(2023.11.24)

文字数 337文字

降る雨が
傘を叩く

雨足が
次第に
強くなる

どこかで
雨宿りしたいのだけれど
建物がどこにもない

いったい
わたしは
どこを歩いて
いるのだろう

家を飛び出した時から雨で
傘をさして走り続けて

いったい
ここは
どこなのだろう

走り疲れて
歩いているが

いったい
わたしは
誰なのだろう

だんだん
不安になり
だんだん
どうでもよくなる

ここが
どこでも
わたしが
誰でも

傘を
放り投げる

ずぶ濡れになる自由が
わたしにはあるのだ

家を飛び出したのだから
もう自由なのだ

雨足が
更に
強まる

わたしは
雨に打たれながら
泣いている

好きなだけ泣く自由が
わたしにはあるのだ

あの人はもう消えたのだから
もう自由なのだ

捕まらないように
遠くへ
どこまでも
遠くへ
逃げよう

わたしは
願ったけれど
何もしていない

信じてもらえない
かもしれないから
逃げると決めた
捕まらないように
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