馬鹿馬鹿しい男(2024.9.25)

文字数 276文字

金曜日は
みんな早く帰るから
いつも僕はひとり

仕事熱心ではなく
ひとりになりたいだけ

既に仕事は片付いている

珈琲を淹れ
深呼吸して
ため息を吐く

今週も
乗り切った

ずっと
辞めたいと思っていて
ずっと
ここではないと思いながら
ずっと
働く僕は馬鹿なのかもしれない

ずっと
思っているのに
転職活動もせず
退職届の下書きもしたことがないのだ

気づけば
定年まで
あと十年を切った

ずっと
違う
ずっと
苦しい
と思って生きるのは
やはり馬鹿げている

生きる意味が
ないとは言わないが
生きている意味がない

広い空間で
ひとり飲む珈琲は
やけに美味い

金曜日の珈琲のために
辞めないというのも
何だか馬鹿馬鹿しくて
僕らしいな
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み