音と僕(2023.10.29)

文字数 308文字

音が僕を追い越す
僕は音を追い掛ける

音は速度を上げ
僕は悲鳴を上げる

苦しい
のではなく
楽しいのだ

汗を流し
空っぽになって
飛び跳ね
腕を振りまくれば

もはや
全身が
鼓膜となり
僕自身が
楽器に成る

もう壊れてもいい
どうせ壊れるのだ

まだまだ走れる
まだまだ飛べる

忘れていた
僕の声が
溢れ出す

砂漠に
雨が降る
みたいな

いや

砂漠にも
雪が降る
みたいな

不自然を
飛び出し
自由な
どこかへ

どうしても
諦められなかった

どうしても
狂いたかった

狂ってしまう
前に狂うんだ

音が僕を追い詰める
僕が音を抱きしめる

音は荒れ狂い
僕も荒れ狂う

ついに
一体になった

ついに
気流に乗った

さぁ、
どこまで

あぁ、
どこまでも

音は僕をきっと裏切るだろう
それでも構わない
僕はずっと音を裏切ってきたのだから
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み