暗い風呂(2023.11.6)

文字数 368文字

暗いまま風呂に入るようになってから
すっと眠れるようになりました

随分前に
年配の知り合いから
聞いてはいたのですが
やはり怖くて
試すことはしませんでした

たまたま
電球が切れて
真っ暗のまま
仕方なく風呂に浸かったら
何だか心が安らぐのです

ひとり
取り残され
ひとり
浮かぶと
淋しさよりも
懐かしさが

電球が
切れたおかげで
ずっと悩んでいた
不眠が消えました

わたしは
朝から晩まで
明るい場所に
居過ぎるのだと思います

田舎の
深い暗闇でなく
浅い暗闇でも
十分に
死んで生き返る

眠りは死で
目覚めは生です

生のために
毎晩死ぬのです

眠れないのは
死ねないことだから
生き返れない

不眠は
死んだまま
生きている
ようなものだと思います

トイレも
スイッチを押さず
暗いまま用を足すようになりました

明るい場所に
居過ぎて
心がずっと高ぶっていたのかもしれません

浅い暗闇でも十分です

さぁ
今晩も
ひとり
浮かぶとするかな
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