処世術(2023.11.5)

文字数 339文字

足が遅い
少年だった

短距離も
長距離も
どちらも
苦手で
楽しい
思い出はない

ただ
歩くことは
好きだった

遠足になると
誰よりも
長く
遠くまで
歩き続けた

大人になって
走ることなんて
ほとんどない

しかし
足が遅い
劣等感は
消えないのだ

だから
とにかく
歩く
どこまでも
歩き続ける

きっと
運動が
得意だった
と言われるが
そんなことはないのだ

一瞬の
速さよりも
続ける
強さが向いている

あれほど
速く走れた仲間は
なぜか
歩き続けることは
苦手らしい

1500m走で
周回遅れになった僕は
大人にったら
抜き返している

どうして
そんなに
頑張れるのですか
と聞かれると

足が遅かった
からと答える

みんな
不思議な顔を
するけれど
真実である

何もかも
得意で
上手な
人は
挫折を知らないから
直ぐに諦めてしまう

僕は
コンプレックスの
塊だ

粘り勝ち
すれば
いいのだ

それが
僕の処世術
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