第11話 2021年11 月 22 日(月)乗船 10 日目

文字数 1,066文字

♀「え〜っとぉ、いい夫婦の日にぃ婚姻届を出しに行こうって決めてました☆目標ですか?え〜っとぉ、いい奥さんになります!テヘペロ(*≧∀≦*)」

♂「家族を大事にするいい旦那さんになります!ペロペロ(^з^)-☆ペロペロ」

みたいなしょうもない風景が日本中の役場にあふれる今日。
婚姻届出すために有給取りましたみたいな奴、俺はお前らが大嫌いだと言っておくからな。

さておき、遠くパプアニューギニア沖では婚姻届出してる暇あるなら、船を出せ、ヘリを出せ、網を出せ、カツオを探せといった感じです。

昨日から本格的に始まったまき網でのカツオ漁。
早朝 4 時からスタートして日没までひたすらカツオを追いかけ回します。

今までの移動のしんどさなんて前菜に過ぎなかったようで、昨日は暑い中での長期戦にTもHもヘトヘトになりました。
ヘトヘト。

初めて見たカツオの群れは圧巻でした。
鏡のような凪の水面をバシャバシャとしぶきをあげて泳ぐ黒っぽい魚群。
たまに跳ね上がりその姿を見せます。
カツオです。
群れの上を狂ったように飛んでいる海鳥の群れ。
慌ただしく準備を始める乗組員。
群れを逃さないように船を操り水面を睨み続ける船長。
網を出す最善のタイミングを見計らい指示を出す漁労長。
レーダーで魚の動きを追う通信長。

船に乗る全員が本気を出す時だった。
そして網は放たれた。
網の範囲を示す黄色いブイが真っ青な海に走って
いく。
その時、魚群が消えた。

網で魚群を止めることができなかったのです。
僕たちにはよくわからなかったんですが、船員たちは漁が失敗したことがわかっていたようでした。

長さがおよそ 2 キロMある巨大な網をひたすら回収していきます。
魚網から落ちる海水、重機からは油が飛び散り、体からは汗が噴き出す。
文字通りドロドロになった船員が引き上げた網には小さな魚が数匹入っていただけだった。
その数匹も網の間からごぼれて海に落ちた。

自然が相手なのだ。一筋縄ではいかない。
がっかりしている暇もないようで、また広い海で新たな魚群を探していく。
船がいっぱいになるまでそれを続ける。
改めて大変な現場であることを実感した 1 日でした。
漁が終わり、食堂で焼きそばを食べ、言葉も少なくTとHは 19 時ごろには寝ました。

付き合う俺らでさえこんなに疲れるのだから漁師さんたちの疲れはすごいのだろう。

と、ここまで書いてて昨日のことばかり書いている感じになってしまいました。
まぁ、1 日のリズムも変わったので許してください。

今日のことも少し書きます。
いい夫婦の日ですね。
今日結婚された皆さん末長くお幸せに。
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