第2話 2021年11 月 13 日(土)乗船 1 日目
文字数 1,970文字
この会社に入って気がつけば 10 年。
だんだん白髪が増えて来ましたHです。
普段は夕方からのローカル番組のいちディレクターとして勤務している私に、舞い込んできたのか、はたまた隕石のように降って来たのか。
約一カ月に及ぶ遠洋漁業の同行撮影という仕事を任されました。
といっても一方的に押し付けられたわけではなくて、ディレクターならではの
「いろんなものを見てみたい」という思いが強くあったことが理由としては大きいのです。まったく我ながら仕事熱心です。
べ、べつに金が稼げるってことに目が眩んだわけじゃないんだからね!
このブタ!チャーシューにしちゃうぞ☆
さておき、そんな長期に渡る取材の記録を残していきたいと思います。
今後、同様の取材を行う場合の参考になれば、そして今回、このような機会を与えてくれた会社の皆さんの暇つぶし程度の読み物になればと思っています。
たまにでいいのでディレクターのHとカメラマンのTについて、
「あいつら頑張ってんのかな」と思い出してくださいね。
頑張ってるから。
というわけでここまでが長くなりましたが、1 日目です。
今日は出港を翌日に控えた遠洋まき網漁船が停泊する鹿児島県の枕崎市に移動したでごわす。
車でなんと 6 時間の移動でごわす。
車を運転したのは先輩のFさん。
「寝てていいよ」と優しくいってくれたが、先輩が長時間運転する車内で寝られるわけないでごわす。
そういう上下関係を重んずる心は、思えば体育会系の部活で学んだ数少ない、今でも生きていることだと思う。
元剣道部のH、元サッカー部のTなのだ。
まぁTは途中から寝てましたけどね。
すっかり午後になり枕崎市に着きました。
カツオの水揚げで日本を代表する港町ですが、実際に来てみると、思いの外こじんまりとしていました。
殿様がいないH市といった感じでしょうか。
Fさんは「田舎やん、田舎やん」って言ってい
ました。
さすがFさん今も直球は良く走っています。
僕も変化球だけではなく直球が走るような男を
目指します。
漁港へ向かうと遠目からでもわかる明らかにデカい船が停泊していました。
赤道直下の太平洋の海域でカツオの漁を行う船です。
乗組員はおよそ30人。その 4 割ほどは外国人船員です。
タラップを通り船に乗り込むとたくましい船員たちの姿もありました。正直、少し恐怖も感じました。強そうなんだもん。
軽くビビりつつ船内に入り、船長と挨拶をしました。
船長と聞くと、古代くんを厳しくも暖かく、男に育て上げた波動砲を撃ちたがるヤマトなお爺さんをイメージしますが(してください)
実は私の 3 歳ほど年上の青年でした。
しかし、その目には厳しさとリーダーシップが宿っていて、出会って数秒で「この人がリーダーなのだ」と感じました。
こんな出会って数秒シリーズは今まで私が夜な夜な見ていた動画にはなかったです。
その後船長から船の内部を案内されたのですが、流石に去年出来たばかりの船。
すごく綺麗ですし、船ならではの重油のような臭さもありません。
トイレにはウォシュレットもついていて、今日 1 番Tが感動していました。
いろいろ案内をされ、私たちが 1 カ月を過ごす部屋へ。
出張に出る前までは僕とTで一人一部屋という話だったんですが、
船長「二人一部屋で」
H・T「はい…」
特にTは凹んでいた。
本当に凹んでいた。
Hも少し凹んだ。
まぁ狭いのです。
しかし、冷蔵庫の中にはお茶や栄養ドリンク、コーヒーまで入っていました。
今まで厳しめの表情だった船長が少し表情を緩め
「ウェルカムドリンクです」と言った。
今思えばそれにやられた感がある。
「船長ついていきますぜ」感がTとHに芽生えたのを感じた。
さらに機材には専用の置き場所を用意してくださり、実質他の荷物も置けるので断然他の船員より好条件なのである。
文句などありましょうか、いやない(反語)
その後、一旦船を離れ、近くのディスカウントストアへ。
一度船が陸を離れれば、漁が終わるまで途中で寄港することはない。
よってどこでも買い物することはできないのです。
1 日 3 度の食事はありますが、個人的にいるものは事前に用意する必要があります。
例えば、酔い止めなどの薬。
ジュースなどの飲料、お菓子や間食用の食料という具合です。たくさん買いました。足りるかなぁ。
それらを船に載せ込み、とにかく収納を最大限に利用した結果なんとか生活できそうなスペースを作り出しました。
「人は座して半畳寝て一畳あれば十分」と花の慶次というマンガで読んだことがありますが、今日ほどそれを実感した日はないかもしれません。
H「おれ足臭いから…」
T「おれボリボリ体かきますから…」
共同生活において必要なのは許容の心だと思う。
Tとのこの日々はお互いが許し合いながら過ごしていかなくてはならない。
明日はいよいよ出港です。
長々と失礼しました。
だんだん白髪が増えて来ましたHです。
普段は夕方からのローカル番組のいちディレクターとして勤務している私に、舞い込んできたのか、はたまた隕石のように降って来たのか。
約一カ月に及ぶ遠洋漁業の同行撮影という仕事を任されました。
といっても一方的に押し付けられたわけではなくて、ディレクターならではの
「いろんなものを見てみたい」という思いが強くあったことが理由としては大きいのです。まったく我ながら仕事熱心です。
べ、べつに金が稼げるってことに目が眩んだわけじゃないんだからね!
このブタ!チャーシューにしちゃうぞ☆
さておき、そんな長期に渡る取材の記録を残していきたいと思います。
今後、同様の取材を行う場合の参考になれば、そして今回、このような機会を与えてくれた会社の皆さんの暇つぶし程度の読み物になればと思っています。
たまにでいいのでディレクターのHとカメラマンのTについて、
「あいつら頑張ってんのかな」と思い出してくださいね。
頑張ってるから。
というわけでここまでが長くなりましたが、1 日目です。
今日は出港を翌日に控えた遠洋まき網漁船が停泊する鹿児島県の枕崎市に移動したでごわす。
車でなんと 6 時間の移動でごわす。
車を運転したのは先輩のFさん。
「寝てていいよ」と優しくいってくれたが、先輩が長時間運転する車内で寝られるわけないでごわす。
そういう上下関係を重んずる心は、思えば体育会系の部活で学んだ数少ない、今でも生きていることだと思う。
元剣道部のH、元サッカー部のTなのだ。
まぁTは途中から寝てましたけどね。
すっかり午後になり枕崎市に着きました。
カツオの水揚げで日本を代表する港町ですが、実際に来てみると、思いの外こじんまりとしていました。
殿様がいないH市といった感じでしょうか。
Fさんは「田舎やん、田舎やん」って言ってい
ました。
さすがFさん今も直球は良く走っています。
僕も変化球だけではなく直球が走るような男を
目指します。
漁港へ向かうと遠目からでもわかる明らかにデカい船が停泊していました。
赤道直下の太平洋の海域でカツオの漁を行う船です。
乗組員はおよそ30人。その 4 割ほどは外国人船員です。
タラップを通り船に乗り込むとたくましい船員たちの姿もありました。正直、少し恐怖も感じました。強そうなんだもん。
軽くビビりつつ船内に入り、船長と挨拶をしました。
船長と聞くと、古代くんを厳しくも暖かく、男に育て上げた波動砲を撃ちたがるヤマトなお爺さんをイメージしますが(してください)
実は私の 3 歳ほど年上の青年でした。
しかし、その目には厳しさとリーダーシップが宿っていて、出会って数秒で「この人がリーダーなのだ」と感じました。
こんな出会って数秒シリーズは今まで私が夜な夜な見ていた動画にはなかったです。
その後船長から船の内部を案内されたのですが、流石に去年出来たばかりの船。
すごく綺麗ですし、船ならではの重油のような臭さもありません。
トイレにはウォシュレットもついていて、今日 1 番Tが感動していました。
いろいろ案内をされ、私たちが 1 カ月を過ごす部屋へ。
出張に出る前までは僕とTで一人一部屋という話だったんですが、
船長「二人一部屋で」
H・T「はい…」
特にTは凹んでいた。
本当に凹んでいた。
Hも少し凹んだ。
まぁ狭いのです。
しかし、冷蔵庫の中にはお茶や栄養ドリンク、コーヒーまで入っていました。
今まで厳しめの表情だった船長が少し表情を緩め
「ウェルカムドリンクです」と言った。
今思えばそれにやられた感がある。
「船長ついていきますぜ」感がTとHに芽生えたのを感じた。
さらに機材には専用の置き場所を用意してくださり、実質他の荷物も置けるので断然他の船員より好条件なのである。
文句などありましょうか、いやない(反語)
その後、一旦船を離れ、近くのディスカウントストアへ。
一度船が陸を離れれば、漁が終わるまで途中で寄港することはない。
よってどこでも買い物することはできないのです。
1 日 3 度の食事はありますが、個人的にいるものは事前に用意する必要があります。
例えば、酔い止めなどの薬。
ジュースなどの飲料、お菓子や間食用の食料という具合です。たくさん買いました。足りるかなぁ。
それらを船に載せ込み、とにかく収納を最大限に利用した結果なんとか生活できそうなスペースを作り出しました。
「人は座して半畳寝て一畳あれば十分」と花の慶次というマンガで読んだことがありますが、今日ほどそれを実感した日はないかもしれません。
H「おれ足臭いから…」
T「おれボリボリ体かきますから…」
共同生活において必要なのは許容の心だと思う。
Tとのこの日々はお互いが許し合いながら過ごしていかなくてはならない。
明日はいよいよ出港です。
長々と失礼しました。