第21話 2021年12 月 2 日(木)乗船 20 日目

文字数 1,636文字

今日のHには、もうネタ日記なんて書く力は残っていません。
ん、ネタ日記とは失礼だな。
まぁ、寿司屋に行けばカツオもネタには変わりないがな。
はっはっは。


はい。
テレビでも見ようか。
〝パプアニューギニア国営放送の人気番組『その時、カツオが獲れた』
第20夜の今日はいよいよ満船の時を迎えます。
この日1発目の網が出たのは昼飯前の午前8時ごろだった。

昨日は1網で240トンものカツオを獲ったこの船、積載量は目標の7割を超えていた。
TとHは期待を寄せていた。
『あと1回でこの長い仕事が終わるかも知れない』

3 日前に甲板でロープを踏みコケていたHは左太ももに鈍痛を抱えている。
昨日クレーンで引き上げられた網から降ってきたカツオがヘルメットに直撃したTは、『一気にハゲた気分です』と言っている。
大丈夫、その前からハゲている。

心身ともに滅入りかけた二人にとって、朝イチの網は希望だった。

しかし、網を出すやいなやカツオの群れは急速に潜航。
漁獲量ゼロという厳しい現実がコケたHとハゲたTにのしかかる。

Tは嘆いた『あと 10 日ゼロの可能性もあるんですよね』
Hもそうやなとエコーを咥え力無く言う。

昼飯はピーマンの肉詰めだった。
普通にうまかったが、食い終わるタイミングでコックから『ケチャップかけて食べてね』と言われた。

Hはもう腹がいっぱいだった。

そして午前10時半を迎える。〟



やっぱ国営放送は作りが固いですね。
チャンネルを民放に変えましょう。


〝あなたの帰国の夢が叶うかもしれないクイズ$カツオネアへようこそ。

本日の挑戦者は巻き網漁船に乗船するTさんとHさんです。
二人とも幸薄そうなシャクレのくせにすごいね〜、ここまで19問を終えて総漁獲量775トンを手に入れています。
次の問題に正解したら、総漁獲量は1000トン、カツオネアとなって日本へ帰れます。


もちろん挑戦受けますよね?

T・H『せーの、受けまぁす!』
うわキモいな!良いでしょう!
それでは1000トンの問題です!

「せっかくここまで19日間欠かさず毎日書き続けてきたHの日記が、20日目にして止まってしまったのはなぜ?」

A.ネタ切れ
B.会社の奴らから質問が来ない
C.会社の奴らから応援のラインも来ない
D.網に 300 トンの群れがかかって気温 30 度の灼熱の日差しの下、8 時間近くぶっ通しで漁に立ち会ったあと、やっと仕事終わったかと思いきや、まさかの漁労長の部屋に呼ばれてご機嫌な漁労長と小一時間ほど話をして、疲れと眠さが限界に達し、もうひたすら寝たかったから。


よーく考えてください。

H『僕としては D かなぁと思うんですけどねぇ…』

Tさんは?
T『僕は B か C じゃないかなと、Hさんの日記に質問なんて来た試しがないですし、応援のラインもお願いした結果、一通来ただけだった気がします。こいつの日記なんて興味あるやつ会社にはいないんすよ。』

二人の意見が割れましたねぇ。
一応ライフラインも残っています。
通信量制限のためテレフォンは使えませんが、50:50、オーディエンスの2つが使えます。

林田『50:50 を使います!』
わかりました、では間違いの選択肢が 2 つ消えます。


A.ネタ切れ
D.網に 300 トンの群れがかかって気温 30 度の灼熱の日差しの下 、8 時間近くぶっ通しで漁に立ち会ったあと、やっと仕事終わったかと思いきや、まさかの漁労長の部屋に呼ばれてご機嫌な漁労長と小一時間ほど話をして、疲れと眠さが限界に達し、もうひたすら寝たかったから。


これはTさんにとっては予想外の選択肢が残ったようですね〜。
Hさんは D じゃないかと仰いましたが、どうしますか?

T『一応、オーディエンスも使います!』
良いでしょう。
では、パプアニューギニアの国民が回答します!


A.100%
D.0%


T『A のネタ切れで!』
ファイナルアンサー?
T『ファイナルアンサー!』


おめでとー!!!!
総漁獲量 1000 トン獲得!!
さぁお前ら、日本に帰れ!!
クイズ$カツオネア 終
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