第16話 2021年11 月 27 日(土)乗船 15 日目

文字数 1,147文字

「明日は休もう。」

大漁に終わった昨日の計 16 時間にも及ぶ勤務に疲れ果てたHとTは、本日割り切って休むことにしました。

社会人になってから休日の価値が上がった人は多いのでは無いだろうか。
かくいう僕もそうで、休日は大好きです。

いつもより遅寝遅起き出来るし、着替えなくていいし、好きな動画でも見ながらゴロゴロ出来るし、ひたすらウマ娘してるし、買い溜めしておけばご飯も買いに行かなくていいし、誰からも電話かかってこないし、ラインすら来ないし、au からのお知らせみたいなメールしか来ないし、誰も俺を誘わないし、俺も誰も誘わないし、別に寂しくないし、独り言言いたい放題だし、ゴロゴロしすぎて腰痛くなるし、買いだめしてるくせに暇だからまた買いだめ用のラーメンとか買いに行くし、スーパーまで行っても知り合いには会わんし、気づけば寝てるし、すぐ暗くなるし、しょうがないからティッシュ使って(意味深)また寝るし。

あれ?俺、休日のことが大好きなんだよな?
まぁいいや。
そんなこんなで誰にだってオフというものは必要です。
さぁ、休むぞ!と意気込んで始まった 1 日でしたが、いつも通り4時前には目が覚めてしまった。

おいおい、まったく俺ってのは働きモンだな!
今日は休みなんだぜ。
さぁ開きかけた目を閉じ、もう1発眠っちまえってハニー。
ドリームな世界でカムトゥルーしようぜボーイ。
とか思いながら寝ようとしましたが、なかなか
眠れない。
仕方ないから朝飯を食いに食堂へ降りた。
船員は働いていた。

朝飯食ったら眠くなるだろうと思いながら食べおわり、タバコを吸いに外に出る。
船員は働いていた。

いやいや、休みなの!と言い聞かせ部屋に戻る。
そして少し寝た。
起きてタバコを吸いに外に出る。
船員は働いていた。

映画でもみよう!
このためにダウンロードしていたんだから!
と部屋に戻る。
ここぞ!という時に見ようと思っていた「おっぱいバレー」は視聴可能期間が過ぎていた。
アマプラも働いていた。

だから同僚オススメのミッドサマーを見た。
途中軽く酔ってきたから外の風にあたることにした。
船員は働いていた。

なかなかすごい映画だなぁ意味わかんなかったけど。
とか思いながら見終わると本格的に船酔いし始めた。
外に出る。
船員は働いている。

船員は働いている。

カツオの群れを探し、双眼鏡でじっと波間を睨んでいる。
灼熱の日差しが照りつけようとも、急なスコールが服を濡らそうとも船員は働く。

タバコを吸うことが目的なのに、僕は右手に小さなデジカメを持っていた。
彼らの前で働いている感を出したかった。

「陸の仕事に比べて 1 日が長いでしょ?」
と若い船員が話しかけてきた。
「そうっすね。」

申し訳なかった。

午後には大きな群れが網にかかった。
TもHも普通に撮影した。

休めない。
そう感じた。
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