第9話 2021年11 月 20 日(月)乗船 8 日目

文字数 735文字

船での生活もちょうど 1 週間が過ぎました。

今私たちは北緯 2 度東経145 度付近にいます。
国で見たらパプアニューギニアの領海に入っているそうです。

これまで私の海外旅行歴は大学の卒業旅行で行った韓国(少しだけ北朝鮮にも)だけでした。
韓国の焼肉を食って、韓国の垢擦りをして、韓国の射撃場へ行って、北朝鮮との国境板門店を見学して、お土産に買った韓国のエロ本が税関に見つかりそうになったりと言った具合でした。

そして次に海外に行くときは深津絵里似のちょっとお姉さんタイプな嫁さんと一緒におフランスで新婚旅行して、エスカルゴの食べ方を教え合いながら、夜は俺のエッフェル塔が嫁さんの凱旋門とラ・マルセイエーズ…(以下略)

なんて夢物語を考えていたんすけど、T とパプアニューギニアなんだよなぁ。
人生って不思議です。

さておき、航海開始から 6 日が経ち漁が始まりました。
といってもまずは魚を見つけないといけません。
この見渡す限りに広がる海で目当ての魚群を探すのはとても大変な作業です。
レーダーやソナー、そして双眼鏡での目視、搭載したヘリコプターで上空からも探します。

それでもなかなか見つかりません。
船員さんによると 1 週間見つからないこともあるそうで、そうなるとだんだん船員さんたちのモチベーションも下がってくるそうです。

海外での漁は魚が取れても取れなくても 、1 日いくらという形で、その海の属する国にお金を払わなければなりません。
ボウズだと完全に損なのです。
もちろん船が魚で満杯になるまでは帰れないこともあって、船員たちは必死に魚を探しています。

今回の航海が早く終わるかどうか、そしていかに大きな利益につなげるか、これからが勝負の期間と言っていいでしょう。

太平洋は今日もあつい。
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