第7話:2次会での出来事

文字数 2,723文字

 会場のレストランに着くと全員で泉田誠一を含め14名が参加していた。最初にみんなでビールで乾杯。やがて話が始まり泉田誠一が今日の会議は論点がしっかりして議論らしい議論ができ佐藤さんの議長ぶりもさすがだと持ち上げた。すると佐藤が、そんなに持ち上げても酒代は自分持ちだからなと笑いながら言った。そして他の若手から丹沢先生の資料は貴重な情報で非常に参考になったとほめた。

 そして最後に政府の補助金を回しても地方都市でも大都市と同じ医療を受けられるべきだという意見に対して真っ向反対した時の迫力には驚いたといった。すると丹沢さんが、あの中国共産党の鄧小平でさえ1985年に先富論を唱え「我們的政策是譲一部分人、一部分地区先富起来、以帯動和幇助落伍的地区、先進地区幇助落伍地区是一個義務」と言った。

 わかりやすく言えば
「先に豊かになれる人が豊かになり豊かになった人は他の人も豊かになれるように助ける」と言ったのだ。あの共産主義の指導者さえ、こう言ったのに自由主義、資本主義の日本の若者が時代錯誤な平等論を言うから、ちょっとカチンと来て言いすぎたと笑っていた。ただ、これから日本の医療をどうすべきかという人達が新しい時代を建設的に作り上げていくべきた。

 その足を引っ張るような意見は決して言うべきでは無いと言うが私の持論だと言い、この信念があるから今迄もやってきたし、今後もやっていけると思うと言った。決して安易な妥協はすべきではないと考えていると言うと、そんな信念を持っているから若いんだと若い女性が言うと、そう言ってくれるとうれしいねと笑った。

 次に丹沢さんが手の内をばらすようでなんだが数ヶ月前に佐藤さんから電話をもらって実はいろいろ検討してみて静岡で高度臨床検査センターを作るのは難しいと言う結論に達したのですがどう思われますかと聞かれたときには、さすが、よく調べたと思ったと言った。私の首都圏の高度臨床検査センターの稼働率の詳細資料をこの会合で見せる気になったのも佐藤君の電話がきっかけなんだと打ち明けた。

 佐藤君の立場として最初、静岡にセンターを作ろうと「静岡高度臨床検査センタ設立委員会」
を作ったわけで、それを確かに理論的に考えればそうなるのだが、なかなか柔軟に、難しいと言う結論に達したとは言えないよ。そこが彼の懐の深い、全国でも十分通用する度量の持ち主だと褒めちぎった。そう言われるると照れちゃうなーと言った。

 丹沢さんが首都圏の検査依頼数と実施状況、開設翌年からの営業時間の延長と土日営業の状況をグラフと図はトップシークレットだから間違っても写真を引用したりはしないでくれと念を押した。すると若手から実際、あれだけの費用がかかっている事、それを毎年返済していく事は、数字がわからないと絶対言えない。

 あのグラフを見せられたが、直ぐに首都圏ほど人口の多くない静岡で高度臨床検査センターを作ろうとは言えなくなるのは良くわかったと言った。それがわかってくれれば、東京から、わざわざ丹沢先生を呼んできた会があるってものだと佐藤さんが喜んた。泉田健一が、それでも、折角ここまでやってきたのだから、日本のどこかに高度臨床検査センター作るのに資本参加したいと言った。

 基本的には静岡に限定したいが、例えば、大阪、神戸、京都、のエリアか北九州、福岡エリアにでも高度臨床検査センター作る時には資本参加したいと言うと、是非、そうしてやってくれよと丹沢先生と佐藤さんが言った。但し1億円以上の金が出来たらなと言うと大笑いとなった。そうして夜23時に2次会も終了し解散、丹沢、佐藤、泉田と他メンバーがっちり握手して別れた。

 やがて2014年があけた。静岡の会議の後、佐藤重幸が頻繁に新宿の丹沢先生と会い、2014年4月19日、ちょうど泉田誠一が橫浜の港北ニュータウン高度臨床検査センターに来ていて、丹沢を呼び出して会う事になった。21時に新横浜で待ち合わせ、個室の焼き鳥屋に入り再会を祝ってビールを飲んだ。

 そして佐藤が泉田に君、株の売買を派手にやってるようだねと聞くので少しねと言った。すると、もしかして佐藤さんもですかと丹沢先生が聞くので同じく少しねと言い、もしかして丹沢先生も聞くと同じと言い大笑いした。飲みながら聞いて見ると丹沢先生はソニー株を売買していたが、その後、NTTドコモ、KDDIとか売買の大きい銘柄を売り買いして売買金額も億を超えてるようで専門科のアドバイザーを雇っていると言った。

 佐藤さんも大型株でトヨタ、武田薬品、ドコモ、ソニーを大きな金額で売買しているようだ。そして丹沢先生はその資金を高度臨床検査センターに投資していると言い佐藤さんが利回りはと聞くと5%といったが最近利回りが下がっているので困っていると言った。佐藤さんも投資したらと言うと、まだ億を超えてませんとのでダメですと言った。

 泉田君はと聞かれ、僕も、まだ億を超えてませんと言い越えたら考えても良いと考えてると言った。そして泉田に、これから話す事は一応、極秘と言う事にしておいてくれと言われ、わかりましたと答えた。実は、佐藤さんが九州と大阪へ出張して高度臨床検査センター設立について調査を始めていると聞き、お金は丹沢先生から出ているようだった。

 それによると九州は医師会と開業医が強すぎて、よそ者は入れない様子で難しいのではないかと言った。大阪の方は意外に自由競争であり医師会は保守的で東京の真似はしたくないようで動きは見られないようだった。ただ関西では、よそ者特に関東の人間を嫌う傾向があるので関西人の人をトップにつけて操るしか方法はないでしょうと丹沢先生に伝えた。

 と言う事は関西を攻略するには関西人をたてる必要ありかと言い丹沢先生が宙を見て関西人かと言い何人か知り合いはいるが完全に信用できる大物はいないと数分考えた末に言った。むしろ金で動く暇で儲かっていない開業医は数人、知ってると言った。ただ大阪で商売をするには大阪の銀行を使うと情報が筒抜けになるから三菱UFJ銀行しかないなと言った。

 三菱UFJ銀行は渋いからなと不安げな顔をした。すると佐藤さんが、そう言っても三菱UFJ銀行は日本一の銀行じゃないですか味方につけられれば大丈夫ですよ。また患者さんのためですと言うのが錦の御旗じゃないですかと言った。そうか、それで行こうかと佐藤さんと丹沢先生が言い、それで行こう、なー泉田君と丹沢先生が肩をたたいた。確かに泉田と佐藤を東京の高度臨床検査センターに紹介したのは丹沢先生であり一番信用できる人だった。
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