第6話:静岡高度臨床検査センター設立委員会総会

文字数 2,745文字

 やがて2013年10月13日静岡高度臨床検査センター設立委員会総会の日となった。会場には総勢52人中40人が参加してくれる予定で静岡の医師会館の会議室に集まった。19時の開始の時間には、そろって会場に入った。そして幹事長の佐藤重幸が静岡高度臨床検査センター設立委員会を始めて約2年が経ったと言った。

 その後、橫浜港北ニュータウン高度臨床検査センターで静岡から研修のメンバーを送り込んで実際にやってみた様子の話やスライドが発表され最後に今後の運営方針の討論会をしたいと思いますと言い総会が始まった。最初に橫浜港北ニュータウン高度臨床検査センターでの検査の実態の話を勤務した人に発表してもらった。そこで一番困ったことは何ですかと聞かれ勤務している静岡の医療施設との日程、時間調整だったと答えた。

 しかし、やはり今後、独立した高度臨床検査センターは絶対に必要だと感じたとも発言した。特に大都市の大型病院に医療が集約し過ぎてCT、MRIを予約するだけのために患者さんに長い待ち時間を課している。更に、その検査結果を医師が診るのに日程が合わないと患者さんが、2度来院せねばならない。大都市でも病院の高度臨床検査と診察、治療がバラバラになり非常に効率が悪いと感じたと発表した。

 その後の2つ演題の演者も同じ様な事を言い高度臨床検査センターの必要性を強く訴えた。そして佐藤重幸は講演の合間に丹沢さんと話をして高度臨床検査センター設立は、やはり大都市でないと難しいと言う話は最初に佐藤重幸が話して全体で討議して最後に招待講演として丹沢さんに、お願いしたいと言うと、その方が無難だと思うよと賛成してくれた。

 演題が終了して20時半になり、ここで佐藤重幸が約2年間、静岡高度臨床検査センター設立委員会の幹事長として首都圏を中心に日本全国で調査した話を30分し討論を30分。最後、ここに来られた新宿のセンター長、丹沢先生の講演で終わりたいと思いますと伝えた。そして佐藤重幸が、まず考えた高度臨床検査センターの必要性を高度臨床検査と診療、治療がバラバラになっていては実に効率が悪いと訴えた。

 と言う事で首都圏で高度臨床検査センターが次々と開設されて成功している事により証明されたのは間違いない。しかし高度臨床検査センター設立には莫大な費用がかかり、その費用を回収する事は必須条件。大きな儲けを出せと言ってるのではなく失敗は許されないと言う事です。もし失敗すれば投資してくれた人々への被害、働いてくれた医療関係者の給料支払い不能になる。

 それだけでなく一番肝心の高度臨床検査の必要のある人々の検査ができなくなるのです。その点を考えると現在成功している首都圏では今後も高度臨床検査センターが徐々に増えていくでしょうと話した。それ以外で設立、運用可能な地域として考えると大阪、神戸、京都エリア。次に、福岡、北九州エリアの2ケ所だけで北海道の札幌でも厳しいと言わざるを得ないと言った。

 すると会場が一気にどよめいた。それじゃー静岡に高度臨床検査センターを作れないと言う事ですかと立ち上がる人も数人いた。以上ですと発表を終えて、次に質疑応答に入りますと言った。すると5、6人の若手から手が上がり1人を指名すると結局、静岡に高度臨床検査センターを作るのを断念しろと言うことですか聞いてきたので作っても運営が難しいと言うことを話したのですと言った。

 それじゃー今迄、やって来たことは何ですかと聞くので高度臨床検査センターの臨床的な意義確認とできたら静岡でも高度臨床検査センターを作りたいが可能かどうかの検証ですと答えた。すると今迄、手を上げていた人達からため息が出た。結局、質問は、これだけで終わった。まず、再度、繰り返しになりますが医療は患者さんのためが最優先です。

 これを最初に申し上げておきますと言い新宿高度臨床検査センターの今迄の検査依頼数と実施状況、開設翌年からの営業時間の延長と土日営業の状況をグラフと図で説明した。これには多くの人がメモを取った。そして、これは一応、極秘事項になっていますがといい首都圏の検査依頼数と実施状況、開設翌年からの営業時間の延長と土日営業の状況をグラフと図を見せると会場から、ため息がもれた。

 その後、開設費用と費用の支出先と支払い状況の推移の資料を見せると、うおーっと。どよめきが起きた。多分、想像以上の費用と返済に期間だったのだと推測された。最後の問題点としては新宿高度臨床検査センターのレントゲン技師、臨床工学士と医者の意見のすりあわせができてない点だと言った。

 もちろん診療する医師が最優先になるべきなのは言うまでもないが、その情報を提供する者達が意見を添えられない点だと書いてあった。確かに医者が全責任を負うとしても、意見を添える位の権限をレントゲン技師、臨床工学士に与えて欲しい。その能力が低いというのなら彼らの能力向上のための働きかけや放射線医師を高度臨床検査センターに配置して、今迄、知り得なかったこと知り、更なる医療の発展に寄与すべきだと締めくくった。

そして丹沢センター長の講演には、大きな拍車が送られた。その後の質疑応答で若きレントゲン技師、臨床工学士から先生は、私達、パラメディカルの言いたいことを代弁してもらい医者の中にも、そう言う考えの人がいるのを知り、本当のありがたいし自分達も、もっと知識向上を図らねばと感じがしたと熱い質問というか、意見が出た。

 中には、医療も産業も人ありき、大都市中心にすべきという考えには賛成できない、政府の補助金を回しても、地方都市でも大都市と同じ医療を受けられるべきだという意見も出た。これに対しては君には日本の医療財政の厳しさがわかってない。それは、非現実的だ。更に医療関係者が昔の共産党系の医療機関みたいなことを言うなと丹沢先生は顔色を変えて言った。

 医療を良くするできるところからしなければ医療の発展はない。理想的な事を論じてる時間など残されてないと強い口調に述べると会場から割れんばかりの拍手が巻き起こった。そして、これで時間となりましたが、この後、近くのホテルのレストランで会場を儲けていますので、多くの忌憚ない意見や議論をしたい人は、是非お越し下さいと佐藤がマイクで伝えた。

 これで静岡高度臨床検査センター設立委員会総会を終了を宣言しますと言い会議が終了した。すると会場出口には15、16人の人が2次会へ参加するようだった。そして、佐藤さんが丹沢さんに、あなたの泊まるホテルのレストランですと言い一緒に参加しましょうと言うと笑いながら望むところですと言った。
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