第19話:大阪センターの状況調査

文字数 2,578文字

 これで博多高度臨床検査センター稼働し始め安心したので丹沢先生が今迄の人脈で頼れそうな大学時代の友人が大阪の大きな病院の副院長になった事を突き止めて面会する約束を取った。彼の名は矢島剛一という頭も切れるが弁舌のたつ出生が早そうな医師だ。やはり予想通り40歳台で大病院の副院長になり院長を虎視眈々と狙っていて大阪医師会でも若手の顔役のになった。

 2019年3月30日丹沢先生が新大阪のホテルについて荷物を置いて指定された場所に行くと、まるで俳優のような衣装を着てキザに帽子をかぶって矢島剛一が待っていた。久しぶりに会って丹沢先生が矢島先生に若作りの格好して今でも飲み屋の姉ちゃんにもてるだろと言うと、まーそんなとこかたと笑った。矢島先生は丹沢に向かって相変わらずセンスのない野暮ったい格好だなと言った。

丹沢先生は俺は昔通り格好なんて気にしない中身で勝負だと言った。、
「それにしても、ふけたなーの一言には内心、落ち込んだ」が、そんなことはおくびにも出さず元気そーに振る舞い、どこ行くというとついて来いと言いカウンターバーの奥の方に座った。ここなら他人に聞かれないだろうから小声で話そうというので了解した。

 ところで相談てなんだと矢島剛一が聞くとで高度臨床検査センターの件だと言うと首都圏で随分、増えてるそうだねと言い確かに患者さんに取っては便利だが医者には今一かなと言った。と言うと矢島が開業医でも人気がなく患者が少なくて困っている内科では最新鋭の医療機器を備えて多くの検査を医者仲間から集めて食いつないでる医者も少なくない。

 高度臨床検査センターは、その息の根を止めようというのかと笑いながら言った。しかし患者さんには医療費の増大に繋がり良くないじゃないかと言うと笑いながら、お前は、いつから医者の味方を辞めて患者さんや左翼系の人間の味方をするようになったのかと強い口調で言った。いや、どっちの味方をしているつもりはなく医療費や患者の利便性を考えていると言い返した。

 そうか正義の味方だとでも言う訳かと笑いながら言った。そんな、たいそうな意味はないよと言うと何か東京色に染まったなと丹沢の顔をまじまじと眺めた。まー良いや、ところで相談というのはと矢島が聞くので大阪に高度臨床検査センターを作りたい思うのだが、その方法についてと注意点を君の意見とアドバイスが聞きたいのでやってきたと言った。

 すると、それなら今まだ話した事が全てだ。俺は丹沢の意見に反対だ。そう冷たいことばかり言うなよ、もし実行するとしたら、どうすべきかのアドバイスといい直すと、にゃっと笑い、これで丹沢が俺に会いに来た理由がわかったよと言った。じゃー答えると言い、まず、現在、さっきも言った様に大阪医師会では貧しい医者の首を絞めるような高度臨床検査センターの必要性を認めない。

 また、多分、いないと思うが、そんな正義の味方・月光仮面の様な医者がいたとしても反対者の圧力で潰される。すると首都圏の高度臨床検査センターグループが反旗を翻して挑戦してきたらと言うと、その時は戦いになって首都圏の高度臨床検査センターには関西の土地に指一本、触れさせないだろうね。つまり何もさせない認めない許認可を出さないと言う事だ。

 丹沢も知ってると思うか関西の医師会の結束の強さは盤石だ、例え総理大臣が来ようが絶対に負けないと言った。これが俺の回答だと言い、それ位のこと、お前にもわかるだろうと肩をたたいた。わかったと言って丹沢は、じゃーこれで失礼するというと矢島がご苦労さんと言った。丹沢がいくらと言うと矢島が、お前のしてた面に免じていらないよと言った。

 帰り際、医者の世界で長生きできる様に上手に生きて行け、間違っても正義漢を振りかざして負け犬になるなと笑いながら言うのを聞いた。
「丹沢は、あいつは出世欲に自分の魂を売った哀れな奴だ」と蔑む様に小さな声でつぶやいた。
その晩、近くの赤提灯で「丹沢は
「悔しくて、やけ酒を飲んで、あいつは腐ってると飲み潰れながら言い続けた」。

 ああいう奴を見ていると昔の様に討論して論破してやりたいと思ったが、
「それだけの純真さ、情熱、時間が残されていないというのを十分にわかっいた」ため、どうにもできない
「自分が歯がゆくってたまらず、飲んでも酔えなかった」。

 その後、ホテルに帰っても悔しくてなかなか寝つけなかった。目覚ましに起こされて8時に起きロボットのように新大阪駅からの新幹線にのり爆睡。車掌さんに終点の東京駅ですよと起こされて、あわてて新幹線を降りて事務所に帰った。その後、2018年4月10日に佐藤さんと泉田夫妻に新横浜のいつもの焼き鳥屋に20時に集合するように連絡した。

 泉田鈴江さんが用事で来られないと言ったが、それ以外は全員参加すると返事が来た。いつものように集まると丹沢が今晩、集まってもらったのは関西高度臨床検査センター設立のために昔の友人を訪ねて大阪へ行き、この件について話し合った事を伝えるためだと告げた。その友人とは学生時代から、いろんな意味でのライバルで将来の医療のあるべき姿、その他、学問の事で親しかった。

 しかし彼は
「親が昔から関西では有名な大きな個人病院の大金持ちの息子」であり、親への反発の気持ちもあったのだろう。その後、今回25年ぶりに再開したが
「ダンディな格好で、随分、変わった」。そして別れた後、
「大阪に帰り親の力の傘も借りて医師会でも出世街道を駆け上った」。今では大阪でも有名な大病院の副院長になっていた。

 その彼が、言うのには、大阪では、
「患者の少ない不人気の内科医院が高額検査で食いつないでいる」。そのため仕方なく、
「そう言う開業医にCT、MRI検査を外注するケースが多い」。つまり、
「持ちつ持たれつの関係であり付け届けも多い」。

 この関係を崩すことはないし、まして、
「関東の人間に対する敵対心は強い」関西では
「相手が関東だとなると頑なに反対して潰す」と教えてくれた。聞く相手を間違えたかも知れないが「
大阪の医師会が動かなければ、まず無理だ」と言うことがはっきりわかったと伝えた。佐藤さんが絶対無理と言う事ですねと念を押すと、そうだと答えた。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み