第10話:M銀行が辞退、Sレンディング

文字数 2,704文字

 2014年5月8日、東京の丹沢先生の所へ三菱UFJ銀行から書面で、前日、ご依頼の件は私ども銀行とっては規模が小さすぎて取り扱うことが出来ない事が判明したので、ここに謹んで、ご依頼の件についてお断り致しますと大阪中央支店長名で書面が届いたと連絡が入った。それによると数億円の物件は多分、2014年から日本で解禁となったクラウドファンディングの中のソーシャルレンディングに該当するのかも知れませんと書いてあった。

 詳細は、そちらでお調べ下さいと書いてあった。そこで日本で始めてソーシャルレンディングを始めた東京の会社に3人で訪問する事にした。その会社は東京の六本木にある会社で訪問前に、一度、佐藤さんが電話を入れて聞いて見ると、是非、そのお話をお伺いしたいので、一度、来ていただけませんでしょうかと好反応だったので丹沢先生は直ぐに六本木の会社に出かけた。

 午後14時に到着すると、その会社スタッフ5人と責任者の方が来られた。そして丹沢が高度臨床検査センターというものから説明してCT、MRIなど現在の最先端医療機器は1台、数億円と高価であり特殊な防磁気壁、防X線壁が必要で1つの施設をつくるのに10億円以上直ぐ場合が多く以前は医師会、医師、製薬会社、医療機器メーカー、医薬品卸、ファンド、個人投資家など限られた人達による私募リートで賄っていたと説明。

それら限定された方々で構成する投資グループが費用を出し合って収益に応じて配当を受け取るシステムで行った。その他には都内中心部の物件の数件を束にして数十億円の規模の非公開リートとして大手銀行、地方銀行が運用して、あくまでも利回りを得る手段で売買するものではなく、そのため急激に増える事はなかった。

 最初は配当率が3%、10から15年で設備費用を回収されてからは患者数にもよりますが、概ね10%プラスマイナス3%で運用できていて倒産した例はありませんと話した。その会社の責任者が、そう言う物件が現れる事を待ち望んでいたと言った。数日中にうちの社員にその施設を利用させたいと言い利用方法聞いてきた。

 首都圏の開業医で自分の所で高度臨床検査CT、MRI設備がないが患者さんのCT,MRIデータを見たいと言う時に、こちらの期間に先生から電話いただければ予約できて検査の日時が決定される。患者さんがその時間に我々の高度臨床検査センターに来て高度臨床検査を受け、その画像を宅急便で指示した開業医へ送るというシステムです。

 費用は保険適用で費用合計が3から6万円、3割負担なら1から1.8万円、1割負担なら3から6千円の個人負担となりますと説明すると、こんなシステム知らなかったと言うと保険適応の高額医療検査は大々的にPRできない決まりなんですと苦笑いしながら説明した。まさに我が社が捜していたシステムに、ぴったりだと大喜びしていた。

 ただし医師会とか厚生省とか難しい所があり医療関係者でないと関わることができないのが現状で地元医師会の賛同を得られないと現実には実現できない。そのため綿密な地元医療機関との根回し対象患者数の調査と最終的には地元医師会の大病院の院長の許可が必要なんで異業種からの参入がなく競争はありません。

 しかし、なにせ高額なので金の工面も大変なのですと現状を打ち明けた。すると実は日本では高配当を得られる先がなくて地方銀行、中小金融機関、個人投資家が、こう言う者を待ち望んでいて我が社に日本で初めてソーシャルレンディングを2014年から開始したのですと語った。それなら、お互いに渡りに船ですねと、握手した。

 早速、この話をするため2014年6月6日、丹沢先生が静岡に来て話をした。しかし大阪、九州に展開するには医師会との根回しが必要だし、直ぐ、うまくいくとは考えにくいので現在の首都圏での新たな高度臨床検査センター設立にかけてみないかといい表向きはすべて我々が出て金の回収と配当金を出すなど金融面は。全てこのソーシャルレンディングの新会社にお願いする事にしたいと言った。

 何か狐に鼻を包まれた様な上手い話ですねと佐藤さんが言うと、しかし断りを入れてきた三菱UFJ銀行大阪中央支店の支店長の書面にも2014年から日本で解禁となったクラウドファンディングの中のソーシャルレンディングに該当するのかも知れませんと書いてあったので間違いないだろうと言った。

 泉田が、それなら多くの医療関係者と一緒に公明正大に共同して運営しましょうよと言うと丹沢先生が顔を曇らせ、君達は何もわかってないと言った。こんな上手い話は誰でも自分達のグループで利益を得ようとして動き、他には絶対言わない逆に知られたら縁故関係の深い連中に全部持って行かれるだけだ。これはその地区の患者さんの予測数を間違えない事。

 次に、この地域のためという錦の御旗のもとで、その地区の医師会と大型病院の院長、事務長、検査技師長に了解を取る必要があるわけだ。例えて言えばサーカスの綱渡りみたいなもので、ちょっとミスれば、それでおしまいさと真剣なまなざしで言った。佐藤さんが、そんなに難しいのに丹沢先生だけで大丈夫ですかと聞いた。

 それに対し。そのために多くの医師会の会長、大病院の院長、医療関係者トップの連中と身銭を切って、お付き合いしてるんだよと笑いながら言った。今後、首都圏でこの話を進めるためには接待費、軍資金が、もっと必要だなと、ちょっと困った様な顔をして、本当は1人最低1千万円ずつ拠出して欲しいくらいだと言った。そんなにかかるのと佐藤さんが言うと本当は5千万円ずつ欲しい。

 でも、そうもいかんだろうから一桁下げたんだと困った顔をした。佐藤さんが、これで内容はわかった何とか1軒でも我々の手で首都圏に高度臨床検査センターを作ろうと息巻いた。そうだなと丹沢先生が言い明日から根回しで忙しくなると言った。丹沢先生が、これから動き回る事になるから用事がある時は必ずスマートフォンに電話、または細かい情報はメールで送ってくれと言った。話を終わると今晩、静岡に泊まっていくから佐藤君、また、あのパブへ連れて行ってと言った。

「すると佐藤さんが丹沢先生に向かって英雄、色を好む」ですかと言い大笑いした。そして丹沢先生が今日は平日だから、あの子もいるよなと、なれなれしく佐藤さんにの肩に手を回した。徒歩3分で、そのパブに行くと以前の子達3人がいて、以前と同じか、それ以上に盛り上がった。これを見ていて泉田が、これで本当にうまくいくのかよと心中でつぶやいた。
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