第15話:丹沢先生の博多医師会での講演と反応2

文字数 2,373文字

 司会者が素晴らし資料をありがとうございますと言い、何かご質問は、ありませんかと聞くとフロアーから数多くの質問が出た。最初の質問が4億円から10億円の費用はどうやって集めているのですかと言う質問に対して開業医さんや製薬メーカー、機械屋、卸、場合によっては数施設を束ねて数十億円の塊にして大手銀行が胴元になり全国の金融機関に公募をかけて資金集めをしました。

 その後、毎月、最初は3%位から検査費用がたまって支払いが進むと5%、7%、10%位まで配当金が増えていき、約30年ほどで支払いが終了すると、各金融機関が支払った資金に配当の30%程度加えた金額が戻る仕組みになっていますと答えた。倒産して駄目になったケースはないのですかと聞かれ最初は1995年からは始まり行き詰まったと言う話はありません。

 しかし全額返済できた所が、まだ1件もないと答え、最初、このシステムを始めた施設が支払いを終える予定が2025年と決まっていますと説明した。じゃ-投資家が多く集まっている訳ではなくて殆ど金を出しているのは医療関係者と金融機関ですかと聞かれ、以前はそうでした。しかし最近、ソーシャル・レンディングの会社が日本にできて半分近くは小口にして個人投資家や海外のファンド、企業も買っているようですと答えた。

残りの半分程度は、以前通り医療関係者の投資です。そしてソーシャルレンディングの解説書をお手元にお配りしてますので、是非、ご覧下さいと言いソーシャルレンディングの会社の堂前社長が挨拶して、もっと知りたい方や参加したいと思われる方は、お気軽に、お電話くださいと微笑みながら言った。

 次の質問は都会は金持ちが多いから良いが、地方ではそう言う訳には行かないと思うが、その点どう思うかと聞かれ丹沢先生が御質問の意図は良く理解できます。どうしても大金がいる事業なので大都会からとなっているのは紛れもない事実です。しかし最近になり原点に立ち返って現状を振り返ってみると金儲けと言う側面よりも患者さんのため日本の医療システム向上。

 日本人の健康のために儲かるかどうかわからないものに医療関係者が福祉的な側面から資金を拠出した人達が多い事が判明した。その話をすると会場が水を打った様にシーンと静まりかえった。その質問者が俺だったら、そんな夢物語に大事な資金は投入しないと言い、初期の段階で投資した人達は偉いのかも知れないねと笑いながら言った。

 これには大きな拍手がおこった。その次の質問者が成功例、失敗例を聞こうとしたが、まだ払い終えた施設がないと聞いても、わからないことがわかったと言いしかし30年かけて大金を回収するというシステムってすごいね。もちろん金額が大きいから仕方ないけどねと言った。次の質問が適応以上に金儲けのために検査行為をして問題になった事例はないかとの質問で、ないと答えた。

 厚生省も医療費の赤字に頭を抱えているので注意深く見ているので漏れはないと言った。その次の質問で100万人規模の都市で、このシステムを導入しようとして、できなかった事例はないかとの質問の時、静岡の佐藤さんが手を上げて、実は静岡市で7年前に高度臨床検査センターを実現しようと設置委員会まで作って活動したのですが予想される収支のシュミレーションで赤字になる事、つまり破綻が予想されたので断腸の思いで断念したと答えた。

 へー100万人都市でも駄目なのと驚いた様に質問者が言った。補足になりますが、その時のシュミレーションで黒字になると考えられたのが神戸、大阪、京都の阪神エリア3ヶ所と博多と北九州の九州エリアの2ヶ所の日本で5ヶ所だけだったと答えた。この話を聞いて会場は博多はいけるのかと言う声が数カ所からあがった。

 しかし関西は商売には厳しいので莫大な費用をかけて30年の長い期間をかけてリスクを負う人がいないのかも知れませんねと言うと会場は静まりかえった。その次の質問でソーシャルレンディングで広く浅く集めるやり方はいけるのじゃないですかと若い医師が言った。すると丹沢先生が、実は、それに一番期待しているのですと言った。

 インターネットやスマートフォンで気軽に投資し配当をもらい続けるというシステムは米国のミレニアム世代の人達が早くミリオ・ネラー、100万ドル以上、日本円で1.1億円以上を貯めて、その利子が4%で1年間に440万円の年金にプラスすれば比較的楽な老後を過ごせるという考え方が広まり、投資信託と同じ様にソーシャルレンディング利用している人が多いと聞きますと言うと、どよめきが起きた。

 するとソーシャルレンディングの会社の堂前社長が手を上げて、まさに彼が言った通りで、ソーシャルレンディングは、ただ単に金儲けだけでなく社会福祉という側面を持った年金代わりに配当をもらい世のため人のためになると言う一挙両得の側面が一番の売りですと大きな声で情熱的に訴えた。すると、へー、そうなんだとやっと理解できたという人まであらわれた。

 議長が時間も押してきたので、この後、質問ある人は、聞きたいことを聞きたい人の所へ行ってもらいます。この会議は、とりあえず終了とさせていただきますと宣言した。時は、既に22時半を過ぎていた。その後、一番、質問があったのが意外にもソーシャルレンディングの会社の堂前社長の所だった。

 講演をしてくれた丹沢先生の所には泉田鈴江さんのお父さんの田丸徳一さんと、博多医師会・会長の石動昇平先生が来て貴重な講演、本当にありがとうございましたと言った。これから一席設けていますので、是非、どうぞと連れて行かれた。泉田夫妻と佐藤さんた後片付けをして資料を整理して忘れ物がないか点検し使用した機材を元の場所に戻した。
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