崩壊../慶子
文字数 1,126文字
ふと出てしまったであろう言葉に 服からかすかにした香水の匂い
私の心がざわつく
年下の男の子に気を使わせてしまった上に
いくら悩んでいるとはいえ 旦那の事を話すわけにはいかない
と笑うも
芦塚君はどこか納得いってない様子だった
仕事がひと段落した時だった
*ピコン
すまない
今日から新しい案件が降ってきて暫く忙しくなりそうなんだ
数日 帰るのが遅くなったり 朝早く出るが心配しないでくれ
遼からのメッセージだった
分かったわ あまり無理はしないでね?
ご飯は冷蔵庫に入れておくから チンして食べてください
仕事…ね
と彼は安心しきった顔で微笑む
トクン
仕事が忙しくなるという連絡から数日
久々に私たち家族3人は自宅に集まっていた
どこか気まずそうな表情の遼
一体何を話そうとしているのだろうか
*ピコンッ
と何かを言いかけた所で遼の携帯が鳴る
携帯を見つめる遼の顔がこわばる
と慌てて遼は家を出ていく
藍は携帯から視線を動かさず
いつになく真剣な表情で
さっきまでとは違い
満面の笑みでこちらを向く
私は軽く藍の頭を叩く
本当は仕事じゃない……か