変化../理沙
文字数 2,669文字
私に
忙しそうなお母さんの姿ばかりが記憶に残っている
話したくなさそうにするお母さんを見て いい人ではなかったのだろうと察した
突然の言葉に お母さんが何を言ってるのか分からなかった
触れてはいけない話だと思っていたのに 急に会えると言われ 戸惑いを隠せなかったけれど
お母さんは嘘をつくような人ではないし お父さんに会える事を理解した
お父さんに会えたら 何を話そう 何をしよう? 聞きたいことだってたくさんある
色々考えることはあるけれど まずはお帰りなさいって伝えたいな
私は急いで 玄関へと向かう
この人が
深々と男性は頭を下げる
お母さんが言葉を濁すぐらいだから 最低な人だと思っていた
なのに この人は私の心の壁を いとも簡単に崩した
何十年も私たちを放置してきたことを 全て許してしまえるほどに
お母さんにも声をかけ 私は一足早く リビングへと向かう
優しそうな人でよかった これから3人幸せに暮らしていけるんだ…
ちゃんと火が通ってなかっただろうか?
家族で食事を取れることに 思わず笑みがこぼれる
親子のコミュニケーションなんてこれっぽちも出来てはいないだろうけれど
私の為に仕事を頑張ってくれていることも 不器用だけれど愛情を持ってくれていることも 分かっているよ
だから そんな顔をしないで お母さん
お父さんが帰ってきてから お母さんも優しい
家族って素敵
上がったら2人と何を話そう
家族3人でどこに出かけよう
なんて 考えていたのも束の間
*ガタッ
お風呂から上がり 2人がいるリビングのドアを開けようとした時だった
お母さんの大きな声が響く
心がざわつく単語に居ても立っても居られなくなり
私は扉を開く
声を荒げるなんて 一体何があったの?
私たち 家族3人 幸せになれるんじゃないの?
お父さんは言いたくないのか 口を閉ざしたままで
まさか、だよね?そんな事ないよね?お父さん
目の前が真っ暗になるような感覚に襲われる
ハッキリ見えていた お父さんの顔が徐々にぼやける
足に力が入らない
私のクラスメイトで 親友の藍ちゃん
初めてあった時から 何故だか他人に思えなくて 私たちはすぐに意気投合した
その藍ちゃんが
父親がいないことを藍ちゃんに話したことがあるが
知っていたのなら どんな気持ちで私の話を聞いていたのだろう
父親がいないことをあざ笑っていた?選ばれなかった私を見下していた?
…可哀想だと、思っていた?
そうであってほしいと願うしかなかった
どれだけ考えても頭の中はぐちゃぐちゃで
布団にもぐり 目を瞑る