混沌../慶子
文字数 1,984文字
ピコンッ
私は重い体を動かし
机の上にあった携帯を手に取る
体調不良でお休みのところ申し訳ありません
仕事の連絡ではないんですが 体調不良と聞いて心配だったので…
今日はゆっくり休んで 仕事は忘れてくださいね!
芦塚くんからのメッセージだった
ありがとう
迷惑をかけてしまってごめんなさいね
と送信し
私は再びベッドに身体を預ける
昨日の一件から体調が優れず 眠れもしない
悪い夢かもしれないと何度も目を瞑るも
私が見た光景、写真が現実だと突きつけてくる
あれだけ泣いたのに 思い出すだけで涙が出てくる
ピコンッ
今日は麻弓たちの家に寄ってから帰ります
携帯を手に取ってしまったことを後悔し
私は返信せず再び布団に身を包み目を閉じる
私は返信せず再び布団に身を包み目を閉じる
明らかに動揺した声に目を閉じる
彼を見つめ 笑う
今 私はうまく笑えているだろうか
信じていたのに
気まずそうに彼は視線を外す
いつかは?何を言ってるんだろうか 彼は
謝られても 私の気が収まるわけがなく
ただただ 虚しいだけで
私が彼と共に生活をして10年はあるというのに
嫌な沈黙に心がザワつく
握りしめていた写真を遼へと投げつける
この先は聞いてはいけない そんな気がした
目の前の人は一体何を言っているのだろうか
嘘だと、言ってよ
悪い冗談はやめて、
こんな話し合いのときに…冗談はやめて…お願い、
必死に彼の言うことを理解しようとした
俺のもう一人の娘?藍の妹?
バチン
鈍い音が部屋に響き
右の手のひらが痛む
痛む手をギュッと握る
謝罪の言葉なんて聞きたくない
顔も見たくない
リビングが静まり返る
浮気なんて 私達には縁のない話だと思っていた
出会ってから今まで
彼はずっと私を見ていてくれたと信じていたし
娘を愛してくれていると思っていた
信じていた
信じて疑うことすらしなかった
頭が痛い
胸の気持ち悪さが取れない
いつの間にか眠っていたようだった
と笑う藍の顔は少しやつれたような気がした
部屋を出ていこうとする藍
机の上にある携帯を手に取り 投げつける
藍は携帯を拾うと 机の上へとそっと置く
酷く悲しそうに笑い そっと部屋を出ていく
藍に酷く当たって 何かが変わるわけでもない
傷ついて 悩んでいるのは藍も一緒なのに
全部 遼のせいよ
そもそも 出会ったことすら 間違いだったのかもしれない
出会ったとしても 結ばれなければ
幸せに過ごせたかもしれないのに