崩壊../慶子
文字数 1,818文字
本当ならとっても大変よね
この間のように一緒にテレビをみたりする事はあるし
もちろんご飯一緒に食べるのだが…
休みの日は出てこないこともあった
きっとここ最近もそうなのだろう
私はそっと額を拭く
散歩をしている人を装えるように少しラフな格好をする
遼を見失ってしまう
いつも遼が会社へと歩いていく道を小走りで辿る
付近のショッピングセンターでも寄ってから帰ろうかと考えていた時だった
遼は右へと曲がった
駅周りということもあり栄えているのだが
遼が歩いて行ったのは住宅街の方だった
住宅街の中の1つの家だった
藍と同年代ぐらいの女の子だった
もう一人女性が現れる
今の光景を整理しようにも
ぐちゃぐちゃの頭と気持ち悪さが思考を止める
若い女性と会ってるのを見てしまい全身の血の気が引きました
仕事だと信じていたのに 裏切られた気分でしたね
顔をあげると さっき見ていた家の扉が開いていた
目の前に広がる光景は
夫が女の子の頭を撫でる姿
嬉しそうに微笑むその子はどこか見たことのある表情で
震える手でその場面を切り取っていく
姿が見えなくなるまで 私はただ立ち尽くす
幸せそうな家族が写っているだけで
どう見ても 遼で間違いがない
心配の気持ちを他所に
私に、娘に嘘をついてまで この人は女性と会っていたのだ
今見た光景が 夢であることを祈りながら―――