混沌../慶子
文字数 830文字
鍵の閉まる音が頭に響く
私が帰宅した頃には外は暗くなっていたが家の中は真っ暗なままだった
きっと藍はまだ寝ているのだろう
どうしてこうなってしまったのだろうか
喧嘩をすることはあっても ちゃんと話し合って解決してきたはずだったのに
彼の中では解決できないことがあったのだろうか
私に不満があったのだろうか?
何度考えても
どんな理由があったかなんて分からない
遼を信じていた
仕事熱心な遼が好きだった
中に入っていた大量の写真がバサバサと音を立て床へと広がる
仕事もひと段落して これからご飯を食べに行くところ
外食も嫌いではないけれど 慶子の手料理が一番好きだ
と鈍い音を立て携帯が床へと飛んでいく
床に散乱した写真を拾い上げる
ブレてしまった写真もあるが
遼と女性2人がはっきりと写っていた
何十年も共にし 支え合い 生きてきた筈だった
扉の閉まるが聞こえた気がして
私は藍の部屋へと向かう
私はリビングへと戻り
机の上へ1枚ずつ写真を並べていく
信じたくない
彼が浮気をしているなんて
人違いだったと 私の見間違いだと
きっとそうだったと思いたいのに
写真に写っている彼は
何度見たって私の愛してる夫だ
藍にはなんと話したらいいだろう
これから私たち家族はどうなってしまうのだろう