崩壊../遼
文字数 1,357文字
いつになったら一緒に暮らせるの?
娘だって父親を必要としているわ
ずっと、ずっと待っていたわ
事を荒げることなく 待っていたじゃない
そちらの家族とは話がついているの?
ねぇ、何とか言ってちょうだいよ
あの日からというものの
毎日大量のメッセージを送ってくる麻弓に頭を悩ませていた
麻弓からの呼び出しがないため
今日は久しぶりに家族3人が家に揃っていた
久しぶりに家族3人で出かけようと思っていた
自分でついた噓とはいえ 偽装生活はかなり心にくるものがあった
*ピコンッ
と携帯が震える
…今、自分は何を言おうとしていたのだろうか
本当は仕事じゃなく
家族がもう一つあって揉めているんだ、とでも?
通知を切っておけば良かった
どうせ麻弓からだろう
今日 出かける約束よね?
忘れているの?
…最悪だ
困惑する慶子を横目に
俺は急いで麻弓の家へと向かった
賑やかなショッピングモールの中
悲しそうに理沙ちゃんが笑う
…ため息をつきたいのはこっちの方だというのに
振り向くと首元にネックレスをあてた麻弓が立っていた
小ぶりなハートのモチーフがついたネックレス
慶子に似合いそうなデザインだった
と戻ってきた麻弓の首には先ほどのネックレスが付けられていた
と機嫌良く麻弓は歩き出す
と理沙ちゃんに手を引かれる
側から見れば幸 せ な 家 族 なのだろう
ああ…… 帰りたい