第1話 劣等感

文字数 2,290文字

私の名前は成瀬 紗絵(なるせ さえ)。


私には5つ年上の姉がいた。姉の名前は成瀬 絵里(なるせ えり)。


お姉ちゃんはまわりからいつも才色兼備だと言われていた。


美人で頭も良くてスポーツ万能、家族思い。非の打ち所のない人だった。


私はそんなお姉ちゃんを誇らしく思う反面、親戚の人達や周りの人達にお姉ちゃんと私を比べられるのが凄く嫌だった…


お父さんとお母さんはそういうことをあんまり言わない人達だったけど、親戚達はいつも私とお姉ちゃんを比べて、お盆や年末年始などお小遣いをもらったりしたが、顔を合わせるたびにお姉ちゃんだけが褒められていて、私は小さい頃から、姉に対して強い劣等感を抱いていた…

姉のことは大好きだった。私はいつもお姉ちゃんお姉ちゃんと呼びながら後をくっついてまわっていた。


性格の良い姉は嫌がることもなく、いつも面倒を見てくれていた。


小さい頃の記憶が薄れている為、これは両親から聞いた話になるが、当時私が3歳、姉が8歳の頃、姉は小学1年生から空手とテコンドーを習っていた。


3歳の私は母親と一緒に姉の習い事についていくと、姉の真似をしたい私は自分にも習わせろと大騒ぎだったらしい。


さすがに3歳では習えないので、その時は母親に言われても駄々をこねる私に、姉が大きくなったら、一緒に習おうねって言って私をなだめたらしい。

私が今でも良く覚えているのが、両親と姉と初めて行ったひまわり畑。


当時私は5歳、姉は10歳


たくさんのひまわりが咲き、ひまわりに囲まれて姉と遊んだり、両親と姉とピクニックのように母親が作ったお弁当をシートの上に広げお昼を食べた。

お姉ちゃん、ここ凄いキレイだね!


これお姉ちゃんにあげる!

私はお姉ちゃんにプレゼントしたくて、ひまわりをたくさんとって束ねてブーケを密かに作った。


今思うと、ひまわり勝手に抜いちゃ駄目だよね(笑)

紗絵ありがとう!大事にするね!
お姉ちゃんは嬉しそうに受け取ってくれた。
この時10歳のお姉ちゃんは、美少女で地元では有名になりはじめていた頃。


テコンドーや空手の大会ではU12のジュニア部門では表彰台にのぼるくらいの実力者になり始めていた。

来年、私は小学生になる。そしたら、お姉ちゃんと一緒に学校に通える。


お姉ちゃんみたく机も自分用に買ってもらえる。


お父さんとお母さんと私は今まで3人で寝ていたけど、小学生になったら、お姉ちゃんの隣の部屋が私の部屋になる。


お姉ちゃんみたく自分の部屋を持ってベッドで寝て、机で勉強するということが、最初は楽しみでしかたなかった。

※ひまわり畑


左 成瀬 紗絵 5歳

右 成瀬 絵里 10歳

1年後、私は小学1年生となった。姉は小学6年生になるとさらに美少女になった。


空手とテコンドーの練習に夢中なお姉ちゃんなので、勉強を凄くしてるわけではないのに、中学受験をしようと思えば、名門横浜女子学院に受かるレベルらしい。


とうの本人は中学受験はするつもりはないらしいが。


私には自分の部屋が用意され、新しいピカピカのランドセルに、新しい机、私専用の新しいベッドが並んだ。


お姉ちゃんが私の部屋に来て羨ましがるもんだから、なんか嬉しかった。

紗絵の机にベッド新しくていいなぁ〜。私のなんて薄汚れてきたよ(笑)


あ!紗絵のランドセル紫色だ!可愛いね!

うん!私、紫色好きだから、ランドセル紫にしたよ!


お姉ちゃんは、もう6年生なんだから、6年間使ったら汚れて当たり前でしょ(笑)


明日から、学校お姉ちゃんと一緒に行ってもいい?

いいよ!一緒に行こうか。私の友達も一緒だけど、家にもたまに遊びに来てるけど、ゆきってわかる?たまに公園で一緒に紗絵も遊んだことあるでしょ?
ゆきちゃんわかるよ!


学校楽しみ!ありがとうお姉ちゃん!

その日の夜、自分の部屋に満足していた私だが、新しいベッドでなかなか寝付けないのもあるのかもしれないが、1人で初めて寝てみると、少し怖い…寝れない…
自分の部屋を出る、お父さんかお母さんに言ったら、せっかくの1人部屋なのに、寝れないなら、白紙となっては困る…


そっと隣のお姉ちゃんの部屋を覗くと明かりが少し漏れていた。


まだ、起きてる?!そう思った私はドアをノックした。

コンコン


ノックすると電気突然が消えた…

え?きっとまだ布団に入ったばっかだよね?


寝る前だよね?


ドアノブに手をかけると鍵がかかっている。


ガチャガチャ


開かない…


どうしよう…

お姉ちゃん。寝ちゃった?
ドア越しに話しかけてみる。


すると、ガチャ


鍵が開けられ、扉が開かれた。


眼の前にはパジャマ姿のお姉ちゃんがいた。


部屋に、招き入れられた私。 


私が部屋に、入るとお姉ちゃんは電気をつけた。

よかった〜紗絵で。パパかママだと思って怒られると思って、急いで鍵かけて電気消して寝たふりしたんだよ(笑)


紗絵はこんな時間にどうしたの?明日から学校だよ?

お姉ちゃんでも、怒られることするんだと思った。
私、1人怖くてなかなか寝れなくて、お父さんとかお母さんに言ったら、1人部屋なくなったら嫌だと思ってお姉ちゃんとこ来た。


お姉ちゃんは何してたの?

そっか〜じゃあ1人で怖い時はこれからも、私の部屋で一緒に寝たらいいよ。


私は音楽聞いてたの。学校で今流行っててさ。


私も紗絵に協力してあげるから、私も遅くまで起きてたことパパとママには内緒ね(笑)

うん!内緒にする。約束する。

そう言って私はお姉ちゃんのベッドに潜り込んだ。お姉ちゃんはルンルンで再度音楽を小さな音量で聞いていた。



お姉ちゃんが何時まで起きていたのかは解らないが、私は1人じゃないことに安心した為、すぐに眠りについた。
※成瀬 絵里 11歳 小学6年生


パジャマ姿

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登場人物紹介

今作品の主人公 成瀬 紗絵(なるせ さえ)。


本編では主人公 成瀬 紬の叔母

成瀬 絵里(主人公 成瀬 紗絵の姉)。


本編では主人公 成瀬 紬の母親。


成瀬 健一(なるせ けんいち)。紗絵、絵里の父親。

成瀬 亜希子(なるせ あきこ)。紗絵、絵里の母親。

山本 登(やまもと のぼる)。


姉の絵里が通う道場の師範。後に紗絵も通う道場。

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