第9話 糸が切れる時

文字数 2,613文字

お前1年のくせにモテるからって調子乗りすぎ。マジでウザい。
そうそう、私は清楚です。か弱いです。みたいなのマジでウザい。
あ!何これ?あ〜そういやお前T.Kレコードアカデミーだかの特待生だかなんだよな?私だけ特別みたいな感じ出してんじゃねーよ!
そう言って、1人の女子生徒がお姉ちゃんの自転車のかごに入っていた、レッスン用の服が入った手提げを放り投げた。
水たまりに浸かって、お姉ちゃんのレッスン用の服の手提げはビチャビチャだ。きっと中の服も水を吸ってビチャビチャだ…
お姉ちゃんが手提げを拾いにいく。
あ〜マジでいらつく。
そう言った女子生徒がお姉ちゃんが手提げを拾っているうちに、お姉ちゃんの自転車を蹴り飛ばした。



ガチャーン、ダンダン

お姉ちゃんの自転車はひっくり返って、お姉ちゃんの周りの自転車もドミノ倒しみたく次々倒れていった…
あ〜あ。あんたのチャリのせいでまわりのチャリも倒れてんだから、ちゃんとなおせよ。
お姉ちゃんは一生懸命他の倒れた自転車をなおしている。
そういうのが気に食わねーんだよ!!
そう言った女子生徒がお姉ちゃんがなおした自転車を蹴って、また自転車がドミノ倒しになった。
レッスン遅れちゃうのでやめてもらえないですか?


私何かしましたか?

お前はわかってねぇ−んだよ。ここは小学校じゃねーんだよ。先輩後輩のある中学なんだよ。


そこで、うちらは3年、お前は1年。


1年のくせに、目立ちすぎ。少し引っ込んでろよ。

そう、1年らしく、先輩が通る時は頭を下げるとかできね−から、うちらは怒ってるわけ。


しかも指摘しても、お前はすいませんって言ってただ帰ろうとしてるだけ。


3年怒らせたらどうなるか、わかってねぇから教えてんの。

私、中学校入ったばっかりで、部活も入ってないので、先輩への礼儀知らなかったならすいません。


もう本当に、早くしないとレッスンの時間になっちゃうんです。

え?お前先輩が話ししてんのに、私レッスンなんで帰りまーすで済むと思ってんの?


丸山台中いちの美少女とか言われて、調子乗ってんじゃねーよ。

気に触ったなら、すいません。丸山台中いちの美少女とか私がそう呼んでくれって言ったわけじゃないので…
はぁ?お前何それ?みんなが私を勝手に美少女って呼ぶんで〜みたいな感じか?あぁゴラァっ(怒)
そう言った女子生徒にお姉ちゃんは胸ぐらを掴まれた。
この光景を見て、お姉ちゃんの自転車が入学当初はピカピカだったのに、数日後には傷がついたりしていた理由がわかった。
順風満帆だと思ったお姉ちゃんの中学校生活。


お姉ちゃんは誰にも言わず耐えてたんだ…


そう思うと怖かったけど、私はお姉ちゃんのもとへ走り出した。

お姉ちゃんの邪魔するな!


お姉ちゃんは日本一の歌手になるんだ!


お前らみたいなやつとは違うんだ!!

私の登場にびっくりするお姉ちゃん。


3年生の先輩達は私の登場に笑っている。

おいおい、ガキが出てきたよ(笑)お前のお姉ちゃんは日本一の歌手になんかなれねーよ(笑)


だって、歌手にすらなってね−じゃん(笑)

一斉に咲い出す先輩達。
はいはい、ガキは邪魔だから帰って、ねんねしてな(笑)
そう言った3年生の先輩に私は突き飛ばされて転んだ。


服がビチャビチャになり、膝を擦りむいた。


私は涙がポタポタとながれてくるのがわかったが、我慢して耐えた。

うわ、ガキ泣いてるし(笑)早く帰ってねんねしてろよ(笑)
私のもとへお姉ちゃんが駆け寄ってきた。
ごめんね紗絵。巻き込んでごめんね。大丈夫?


本当にごめんね。

お姉ちゃんは少し泣きそうな顔をしていた。



私がわんわん泣き出したら、お姉ちゃんが自分を責めて辛くなると思ったから…


だから、私はわんわん泣きそうになるのを必死に耐えた。



妹は関係ないので、手を出さないでください。


これ以上、妹に何かするようだったら、全員この場で、私がぶっ殺す。

そう言ったお姉ちゃんの目つきが変わった。
こいつ妹の前だからってカッコつけてるよ(笑)


ぶっ殺す?うちらを?(笑)お前一人で?(笑)

そう言った女子生徒の先輩に続き他の先輩達も笑った。
3年に生意気な態度とんなって言ったばっかなのにわかってねぇーなお前。


妹の前だからって口だけカッコつけてんじゃねーよ! 


ほら、妹助けてみろよぉ!!

そう言った先輩が、私を殴ろうとした。


でも…


私を殴ろうとした先輩は私に辿り着く前に…


お姉ちゃんに腹に蹴りをもらって、嘔吐しながら倒れた。

言ったよな。これ以上妹に何かするようだったら、ぶっ殺すって。
1人が一瞬でやられたのでちょっとビビりだす先輩達。


お前調子乗ってんじゃね−ぞ!!
そういって残りの4人の先輩がお姉ちゃんに飛びかかってくるが、全員、お姉ちゃんに蹴りや、空手のつきをもらって雨の中地面に倒れ込む…
お姉ちゃんが私を突き飛ばした先輩の所に歩いていく、倒れ込む先輩の髪の毛を引っ張って、引きずって、駐輪場に投げ捨てた。


自転車に顔面から突っ込み口から血を出す先輩の腕を攫んだお姉ちゃん。

私はお前らを殺すって言ったよな。
バキッって音がした。
泣き叫ぶ先輩。
その光景を他の倒れ込んだ先輩達が見ていて顔が青ざめていた。
お姉ちゃんは、私を突き飛ばした先輩の腕を折った…


簡単に…

お姉ちゃんは次にレッスン用の手提げを投げた先輩に近づいていく。
す、すいませんでした。もうしませんから。許してください…
お前は、私が謝って許してくれたか?
そう言うと


お姉ちゃんは先輩の足に手をまわす。


バキッ


変な音ともに泣き叫ぶ声が響いた。


その先輩は足をお姉ちゃんに折られた。変な方向に…

他の3人の先輩はもう泣きながら謝り続けているが、一人ずつ髪の毛を引っ張られ引きずられ、駐輪場に投げ捨てられた。
今後、私や私の周りの人間に関わるな。余計なことしてくるようだったら、両手両足全部骨折るよ。

もしくはもっと辛い目に合わせてやろうか?


あと、私の自転車とレッスンの服弁償しろ。わかったか?

ボロボロの泥まみれの先輩達は泣きながら、全員頷いた。


雨で分かりづらいが、恐怖のあまり漏らしている先輩もいた。

同じ小学校出身の先輩だったら、いくらお姉ちゃんが後輩とはいえ手を出してこない。


お姉ちゃんが強いことを知っているから。


この5人の先輩は全員違う小学校出身の先輩だったのだろう。


そして、この現場を目撃した数名の生徒により、お姉ちゃんの殺戮現場の話は後日、広がり、丸山台中学校いちの美少女に加え


殺戮の天使というもう1つの名がお姉ちゃんにはつけられた…

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登場人物紹介

今作品の主人公 成瀬 紗絵(なるせ さえ)。


本編では主人公 成瀬 紬の叔母

成瀬 絵里(主人公 成瀬 紗絵の姉)。


本編では主人公 成瀬 紬の母親。


成瀬 健一(なるせ けんいち)。紗絵、絵里の父親。

成瀬 亜希子(なるせ あきこ)。紗絵、絵里の母親。

山本 登(やまもと のぼる)。


姉の絵里が通う道場の師範。後に紗絵も通う道場。

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