第11話 え?ホントなの?

文字数 2,002文字

お姉ちゃんは先輩を病院送りにしたのに、何もお咎めがなかった。


先輩達がビビっているのか、お姉ちゃんが優等生な為、先生達からそんなことするはずがないと思われているのか、目撃した人が何も言っていないだけなのか、そのすべてなのか。


相手の親も出てくることもなく、本人の不注意による事故みたいな処理をされたらしい。


殺戮の天使という名がついても、告白はいろんな人からされたらしい。丸山台中学校に限らず、周りの他の中学校の知らない人にも告白されていたらしい。

そこからのお姉ちゃんの中学1年生、私の小学2年生は大きなトラブルはなく過ぎる。


翌年のお姉ちゃんの中学2年、私の小学3年生も同様に何事もなく1年が過ぎた。


私は小学4年生、お姉ちゃんは中学3年生になった。


お姉ちゃんは中学1年生、中学2年生のテストはすべて学年1位だった。


今年中学3年生は受験の年。先生達はお姉ちゃんに名門横浜学院高校をすすめてくるらしい。


お姉ちゃんが中学受験をしていれば、受かったであろう名門中学校の生徒達がエスカレーター式で上がってくる高等学校だ。


毎年東大生が必ず出ているらしい。


お姉ちゃんは模試の結果だと横浜学院高校はA判定。合格率は90%以上だ。


おまけに同い年の人の中では模試の点数は全国5位らしい。


とてつもなく優秀なのに、お姉ちゃんはたいして勉強をしているようには見えない…


勉強より、歌やダンスに夢中だが、お父さんもお母さんも成績優秀なお姉ちゃんに受験生なんだから、勉強しなさいとは言えないし言わない。

私も背が伸び始め、小学4年生にしては身長が平均よりも全然大きい148センチとなった。


チビだった頃には着たくても着れなかった服も着れるようになり、ちょっとずつお洒落することにも興味が出てきた。

私も、お姉ちゃんと姉妹なだけあって、顔立ちは良かった為、この頃になると、友達から紗絵ちゃんは可愛いとか、将来は美人になるとか、よく言われるようになった。


お姉ちゃんと並ぶと劣るけど…


お姉ちゃんのことは大好きだし、仲も良いけど、一緒に写真に写りたくないって思い始めたのもこの頃あたりからだ。


私とお姉ちゃんが一緒に写真に映ると、お姉ちゃんの方が顔が小さくて、細く見える…


決して私の顔がでかいとか、私が太ってるとかそんなんじゃない。私だって、顔は小さい方だし、どちらかといえば細い方なのに…


この頃ぐらいから、一緒に写真を徐々に撮らなくなってしまったことを、もう少し大人になった私は後悔する。


でも、この時の私は、まさか、そんな日がそんな早く来るなんて思ってないから、気付けない…

私が可愛いとか、将来は美人になるとか言われるということは、お姉ちゃんはさらに綺麗になっているということだ…


私の憧れでもあり目標でもあり、越えることが出来ない壁みたいなのがお姉ちゃんだった。

新学期の春、桜の季節。お姉ちゃんは恋をした。


ずっとモテ続けてきたお姉ちゃん。


そして告白されても振り続けてきたお姉ちゃん。


お父さんとお母さんには内緒みたいだけど、私にだけ彼氏が出来たと教えてくれた。


毎日のようにのろけ話を聞かされる私…

夏になると、毎年恒例のひまわり畑に今年も行った。昔は、お姉ちゃんの身長が凄く高く感じたのに、身長差は縮まり始めていた。


中学3年のお姉ちゃんの身長は161cm。


小学4年生の私は148cm。


昔はもっと身長差があった。


お姉ちゃんの方が小顔なのがちょっと許せないが…

※写真左 成瀬 絵里 15歳


 写真右 成瀬 紗絵   9歳(今年10歳)

そして、ひまわり畑に行ったこの日の夜、私は珍しく夜中にトイレに、行きたくなって目を覚ますと、お姉ちゃんがトイレで吐いているのを見かけた。


ドアを開けたままだったのでわかった。


私とお姉ちゃんの部屋は2階。2階にもトイレがある為、私とお姉ちゃんは下に降りなくてもトイレに行ける。


両親は深夜なので寝ている時間だろう。


私は下に降りてコップに水をついできて、吐いているお姉ちゃんの背中を擦りながら渡した。

お姉ちゃん大丈夫?具合悪いの?お母さん呼んでくる?
私がそう言って、お母さんを呼びに行こうとすると腕を掴まれた。
大丈夫だから。具合悪いわけじゃないから。


紗絵トイレしたいんでしょ、今どけるからね。


トイレ終わったら紗絵、ちょっと部屋までつきあってくれる?

わかった。無理しなくていいからね。
少しするとお姉ちゃんは落ち着いたので、お姉ちゃんの部屋に、一緒に入った。


ここで、私は衝撃的なことをお姉ちゃんから聞くことになる…

紗絵、パパとママに絶対内緒にしてほしい。



私妊娠した…



お腹に赤ちゃんいるの…

え…?お姉ちゃん…


それホントなの…?何かのドッキリ…?

ドッキリじゃないよ…


本当だよ…

妊娠したっていうお姉ちゃんはお腹が出てるわけではないし、食欲がすごくなったわけでもないし、いたって普段と変わらないから気づかなかったし、気づけなかった…
※成瀬 絵里 15歳
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登場人物紹介

今作品の主人公 成瀬 紗絵(なるせ さえ)。


本編では主人公 成瀬 紬の叔母

成瀬 絵里(主人公 成瀬 紗絵の姉)。


本編では主人公 成瀬 紬の母親。


成瀬 健一(なるせ けんいち)。紗絵、絵里の父親。

成瀬 亜希子(なるせ あきこ)。紗絵、絵里の母親。

山本 登(やまもと のぼる)。


姉の絵里が通う道場の師範。後に紗絵も通う道場。

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