第2話 私ばっかり
文字数 2,159文字
私は普通よりは比較的裕福な家庭で育った。
お父さんはこの時、不動産会社の部長、お母さんは専業主婦。
共働きが当たり前の時代に専業主婦ということはお父さんはそれなりのお給料をもらっていたのだろう。
家だって戸建てに車も所有している。
お姉ちゃんとは朝早くに会話したはず。まさか2度寝?!
でも、完璧じゃない所もあるっていう姿を時々見せる。
ただ、お姉ちゃんはズルい。大人達や友達の前では完璧な姿しか見せない。
私にだけは、ちょっと抜けているお姉ちゃんの姿をたまに見せる。
ゆきちゃんはお姉ちゃんの友達だけど、私も公園でたまにいっしよまに遊んだことがあるから知っている。
ゆきちゃんは私達の家の前を通っていつも学校に行くので、ちょうど私達の家は通り道。
お姉ちゃんと私の姿を見ると走ってきた。
1年生の私には良くわからない話だ。
でも、ゆきちゃんの話を聞く限りお姉ちゃんはやっぱりモテるらしい。
お姉ちゃんは、今では親達の間でも噂になっている。
この間、お姉ちゃんの空手の稽古をお母さんと見に行った時、お姉ちゃんと同じ学年の子も同じ道場で習っているから、そのお母さんに娘さんは丸山台小いちの美少女って言われてますよって、お母さんがいわれてるのを聞いた。
お姉ちゃんは、気づき、歩くスピードを落として、私に合わせてゆっくり歩く。
お姉ちゃんのモテる要素は美少女なだけではないのだろう。
美少女なうえにこうやってさり気ない優しさを見せるから、男子は惚れてしまうんだろう。
もしくはさり気ない優しさで勘違いさせてしまっているのか?
お姉ちゃんのおかげで、私は汗だくにならずに済み、平和に学校についた。
私も自分のクラスを探して自分の教室に向かおうとする。
ちょっと嬉しかった。
まだ、みんな仲良しグループもなく、ちょっとみんながみんな遠慮した感じだ。
でも、みんな決まって言うセリフがある。
それは、「お姉ちゃん本当に美人だよね。」もしくは「お姉ちゃん本当に可愛いよね。」
お姉ちゃんは美少女と呼ばれるだけあって目立つ。
ランドセルを背負ってなければ、中学生にも見えるし、オシャレをすれば高校生でもいけるかもしれない。足が長く、身長も158センチと大人の女性とあまり変わらない。
じゃあ私は?美少女のおまけキャラ?もしくは美少女の妹。影の存在…
お姉ちゃんが輝けば輝くほど、私は影になるの?
お姉ちゃんのことは大好きだ。
だけど、影に埋もれていく自分が許せない…
いつも私ばっかり…
小学生となった私の姉への劣等感は増していく…