第8話 丸山台中学校
文字数 2,495文字
お姉ちゃんは3月に卒業し、学校へはこれからは一人で行かなければならない。
丸山台中学校の入学式。私はまだ春休みのため、お姉ちゃんの入学式が見たくて両親についてきた。
制服姿のお姉ちゃんは大人っぽかった。
校長の挨拶や来賓挨拶等が終わると、いよいよ新入生代表の挨拶となる。
丸山台小学校の卒業生代表だったお姉ちゃんが中学生になっても新入生代表だった。
小学校の卒業式の時のようにお姉ちゃんは、新入生代表の挨拶を暗記していたのだろう。スラスラと言い終わると、頭を下げ拍手に包まれる。
あっという間に中学校の入学式は終わった。
まだまだ、この時の私にとっては先の話だが、小学校の景色ばかり見ているので、丸山台中学校の中は新鮮に感じた。
他の新1年生の子たちは制服にはじめて袖を通しました感が強かったが、お姉ちゃんだけ、そんな感じがしなかった。
1年生っていうより、2年生もしくは3年生の中にいても、全然違和感はないくらい、初々しさみたいなのを感じられなかった。
でも、荒れている中学校で1年生で目立ってしまうことは、決していいことばかりではない。
お姉ちゃんは、目立つ。でも、目立てばやはり上級生のよろしくない連中の目にもとまってしまうことになる…
お姉ちゃんがT.Kレコードアカデミーの特待生だということは、丸山台中学校でも有名だった。
4月から、お姉ちゃんはレッスンに週5日は通っている為、中学校の部活には入っていない。
丸山台中学校 新1年生
丸山台小いちの美少女から、1年生にして丸山台中いちの美少女と呼ばれるようになっていた。
もちろん上級生にも告白されていたみたいだ。
でも、上級生を振り続けていると、2年・3年の女子の不良の先輩から目をつけられたお姉ちゃん…
お姉ちゃんが3 年生のサッカー部のイケメンに告白されて振ったことが1番の原因らしい…
お姉ちゃんは一見、クールビューティータイプにも見えるため、すました感じが、調子にノッてると、とらえられてしまったのであろう…ひがみや、妬みも入っていると思うけど…
T.Kレコードアカデミー特待生として、レッスンにも順調に通っており、順風満帆な中学生生活を送っているのだろうと思っていた。
でも、そうじゃなかった…
その日は、私は空手もテコンドーの稽古もなくて、学校が終わってから、少し友達と学校の遊具で遊んでから帰ってきたため、私はいつもよりちょっと帰りが少し遅かった。
家に帰るとお母さんが家の鍵を開ける時に気づいた。
たぶん傘を届けるくらいには、ちょうどよくお姉ちゃんが学校が終わるくらいだ。
お姉ちゃんは今日もレッスンの日なはずなので、ずぶ濡れで帰ってきたら、シャワーを浴びて着替えて、なんてしていたら、レッスンに間に合わないかもしれない。
朝はゆきちゃんと一緒に学校にいくけれど、帰りはお姉ちゃんは部活に入っていない為、1人だって前に言っていた。
お姉ちゃんの入学式以来の中学校に行くのがちょっとワクワクした私。
お姉ちゃん傘届けたらきっと喜んでくれるだろうなぁ♪
お姉ちゃんは学校帰りにいっつもどうしてるんだろうなぁ、なんて考えながら、歩く私。
中学校の正門側の校門前までついた。
最初はここで待っていようと思ったが、小学2年生の私にとっては、ただ突っ立っていることは退屈だ。
授業がや掃除が終わり、部活へ移動する生徒達の姿がたくさん見えたので、お姉ちゃんも出てくるかなと思ったが、出てこない…
登校口へ向かっていくと、靴を履き換えている生徒はまばらで、1年生の方をのぞいていたけど、いない…
みんな部活が始まっているので、お姉ちゃんは出てくるはずなのに、ちょっと待っても来る気配がない…
(そうだ!お姉ちゃんは自転車で通学してるんだから、すれ違いで駐輪場にいるのかも!)
特別な理由がない限り、大半の生徒は何部かには所属しているので、駐輪場の方へ行くとほとんど人はいなかった。
ちょっと離れていたけど、お姉ちゃんが見えた。
私が見たお姉ちゃんは金髪だったり、明るい髪の人の女子生徒のグループにお姉ちゃんは囲まれていた。
人数は5人くらいだろうか。
私は気づかれず、近くまで歩いていった。
そして、お姉ちゃんを囲っている派手目な女子生徒は友達ではないと、聞こえてきた会話で理解した。